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第2節 地盤沈下対策

 工業用水法および建築物用地下水の採取の規制に関する法律に基づく指定地域は、昭和46年度の調査に基づき、昭和47年度早々に首都圏南部地域において拡大されたが、同地域の地盤沈下はかなり広域化していることおよび水理地質的観点からも広域的な関連が見られること等にかんがみ、さらに指定地域を拡大することを検討する。その他の地域についても、新たな地域指定および許可基準の改正について、全国的に検討を進めることとする。
 一方、現行法の規制対象外となっている上水等の地下水採取規制、規制方法の改善等、地盤沈下防止のための制度全般についても検討する必要があり、総合的な地盤沈下対策の確立を中央公害対策審議会地盤沈下部会を中心に推進して行く方針である。
 従来から、工業用水法に基づく指定地域における地盤沈下対策として工業用水道の建設を促進してきているが、昭和47年度においては、昭和46年5月に東京都および埼玉県の指定地域における井戸の許可基準を強化したこと、ならびに、昭和47年5月に東京都江戸川区および千葉県東葛地域を指定地域とするとともに千葉県の既指定地域(葛南地域)における井戸の許可基準を強化したことに伴って必要となる代替水源の整備を促進するため、埼玉中央第一(埼玉県)、城北地区(東京都)、江東地区(東京都)の各工業用水道事業の拡張および東葛地区工業用水道事業(千葉県)の新設について、その総事業費26億円に対し、796百万円の補助金を交付することとしている。
 水溶性天然ガス資源の開発に伴う地下水採取による地盤沈下を防止するため、新潟市およびその周辺地域ならびに千葉県の葛南地区、千葉市およびその周辺地域ならびに九十九里地域について天然ガス採取に伴う付随水の排水規制を行なうとともに、地盤沈下観測井を設置して、沈下の原因、機構の調査を継続する。
 また、農業用水等の地下水汲み上げに起因する白石平野の地盤沈下による被害を抜本的に解決するため、従来まで使用していた地下水源から、筑後川からの導水などに水源を転換する事業の全体実施設計に着手する。
 このほかの地盤沈下対策事業としては、昭和46年度に引きつづき、新潟地域においては中の口川の堤防かさ上げ工事、西海岸松浜地区の侵蝕対策事業および農業用施設の被害を復旧するために県営土地改良事業として、新潟地域特殊排水事業を実施する。東京、大阪およびその周辺地域においては、高潮対策事業、地盤沈下対策河川事業および耐震対策河川事業により、防潮堤のかさ上げ、内水排除施設の拡充および河川の整備等を図ることとしている。

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