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第1節 公害紛争処理制度の充実強化

 公害紛争の迅速かつ適正な処理を図るための第63回国会において公害紛争処理法が制定され、45年11月1日から同法による公害紛争処理制度が発足し、着実にその成果を挙げつつある(第2部第6章第5節参照)が、さらに、47年度においては、「公害等調整委員会設置法案」を第68回国会に提出し、公害紛争処理制度の充実強化を期している。本法案の内容は、次のとおりである。
? 公害等調整委員会の設置
 中央公害審査委員会と土地調整委員会とを統合して、現行の両委員会の有する権限に加え公害紛争に係る裁定を行なう権限を有する公害等調整委員会を総理府の外局として設置し、国の紛争処理機関の強化を図ること。
? 公害紛争に係る裁定制度の採用
 公害紛争処理法の一部改正により、公害等調整委員会が公害紛争について裁定を行なうこととし、裁定は、次のようなものとすること。
ア 裁定の種類は、公害に係る被害についての損害賠償責任を明らかにする責任裁定ならびに被害とその原因とされる行為との間の因果関係の有無を明らかにする原因裁定の2種類とする。
イ 裁定手続においては、当事者の立会いのもとに審問を行なうほか、職権で証拠調べおよび事実の調査をすることもできることとする。
ウ 責任裁定の効力は、裁定がされた後30日以内に訴えの提起がなければ、当事者間に、裁定と同一の合意が成立したものとみなすこととする。
エ 原因裁定をしたときは、関係行政機関に通知するとともに、必要な措置についての意見を申し立て、公害の防止等に資することとする。

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