前のページ 次のページ

第4節 国立公害研究所の設立準備

 公害対策を効果的に推進するためには、環境汚染が人の健康および生活環境に及ぼす影響の研究や汚染状態の監視測定方法の研究をはじめとして、広範な科学技術の諸分野にわたる総合的研究体制の整備がきわめて重要である。環境庁の設立にあたってもこの問題が重要施策のひとつとして取り上げられ、関連する諸分野との有機的な連携をたもちつつ環境汚染の及ぼす影響、公害監視測定方法等の公害研究についての中心的な役割を担う研究機関として環境庁に国立公害研究所を昭和49年3月までに設立することとなった。
 環境庁設置法第9条第1項に規定されている国立公害研究所の業務は次の通りである。
1. 大気の汚染、水質の汚濁、騒音等が人の健康及び生活環境に及ぼす影響の研究、大気の汚染、水質の汚濁、騒音等の監視測定方法の研究その他公害の防止に関する試験研究及び調査を行なうこと。
2. 公害に関する国内及び国外の資料を収集し、整理し、及び提供すること。
 国立公害研究所の運営については、大学、研究機関等との交流を密にするとともに、各分野にまたがる総合的な研究を重視する等、研究の効率的な推進を図ることが要請される。
 環境庁としては、昨年7月の発足当初より国立公害研究所の設立準備に着手し、学識経験者等で構成する設立準備委員会(座長、茅誠司東京大学名誉教授外15名で構成)およびその下部機構として専門的事項を調査審議するための設立準備委員会専門委員会(座長、鈴木武夫 国立公衆衛生院公害衛生学部長外28名で構成)を設置し、研究所の具体的組織機能等について検討を進めている。
 昭和47年度においては設立準備委員会で引き続き検討を進めるほか、建物、大型施設等の全体配置計画(建設マスタープラン)の設計を行ない、さらに研究第1棟の建設に着手する。この研究第1棟は、面積6,561?、建設予算688,287千円で昭和48年度中に完成される。なお、国立公害研究所の設置場所としては茨城県筑波研究学園都市を予定している。わが国における公害研究の中核になるものとして、この国立研究機関に寄せられる期待は大きい。

前のページ 次のページ