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第5節 環境情報システムの整備

 環境汚染、破壊といった環境問題は、多くの要因が複雑にからみあい、その現象の解明と対策のためには、自然科学分野のみならず社会科学分野をも含め、各分野間の研究成果の相互流通を十分に行なうことが肝要である。また、環境保全に関する汚染監視測定データや関連する気象、水象などの測定データ、あるいは、経済データや人口データなどの社会データを利用しやすいように一元的に取り扱えるような情報体制の整備も重要である。
 このため、国立公害研究所の設立準備を進めるにあたり、その内部組織として環境情報を担当する強力な組織を検討しており、コンピューターを活用した環境情報システムを整備することを目標として準備をすすめている。このため昭和46年度より準備に着手しており、昭和47年度には具体的な情報システムの機能の内容と基本設計を完了させることとしている。
 なお環境情報システムとしては、次のような構想が検討されている。
1. 環境情報システムの対象とする情報の区分
 環境情報システムにおいて整備される情報は、主として、次の4グループに区分される。
(1) 環境汚染監視測定データ
 国、地方公共団体、企業によって監視測定されている測定データー等。
(2) 環境保全に関するその他データ
 環境の自然的背景に関するデータ、すなわち気象、水象、土壌条件や自然の植生状態などのデータ、人口動態や経済データー、行政データや都市データなどの社会データ等。
(3) 科学技術文献情報
 日本科学技術情報センターの環境公害に関する技術文献抄録の作成作業の促進と充実ならびにその他の科学技術情報組織との協力による環境科学技術情報。
(4) プロジェクト調査研究等の成果の資料
 国、地方公共団体およびこれらの試験研究機関の実施する環境保全に関する調査、研究の成果の資料。
2. 環境情報システムの機能
 具体的なシステムの形態は、昭和47年度の基本設計の過程において決定されることになるが主要なものは、
(1) 監視測定データの管理
(2) 科学技術文献の検索方法(クリアリング)のサービス
(3) プロジェクト調査研究等資料の検索サービス
 等であり、広く、環境保全科学技術資料センターとしての機能を検討している。

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