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第3節 自然保護等に関する調査研究の推進

 われわれが自然を利用するにあたっては、利用しようとする自然の機構−いわゆる生態系−を十分に見究めた後、人工を加えるなどの配慮が必要である。
 従来、各地で見られた乱雑な開発行為がもたらした自然の損傷、破壊は、利用しようとする自然の機構−いわゆる生態系−への配慮、あるいは知識の欠除によってひき起こされたものと考えられる。そこで、これらの問題の科学的解明に努め、住み良い生活環境の維持と自然の保護を基調とした賢明な自然の利用を図るため、環境庁では次のような調査研究を行なうこととしている。
1. 自然林に対する伐採等の人為的な外力が森林生態系に与える影響を多面的に調査研究し、道路建設等による自然破壊を減殺するための基礎資料を求める。
2. 自然公園利用者の過剰利用に対し、効果的レクリエーションが行なわれるよう適正な収容力を決定するための調査を行なう。
3. 都市環境汚染の進行を監視するための指標動植物の利用に関する調査を行なう。
4. これからの人類の開発利用に大きな可能を有する海洋における自然保護のため、現在、生態系の破壊が問題とされているオニヒトデの異常発生のメカニズムとその対策の研究を行なう。
5. 農薬汚染が野生鳥獣の保護に与える影響を残留毒性の調査研究によって解明し、また、減少しつつある鳥類の人工増殖の研究を行なう。
 この他、47年度から新たに農林省所管の試験研究機関、府県試験研究機関、大学等の協力体制のもとに、土壌および水域の生態系における汚染物質の循環等を明らかにし、これらの環境中における汚染物質の受容能力を把握するための基礎的研究および生物の利用による環境判定手法の開発研究を進め公害防止対策および自然環境の保全に資するため「農林水産生態系における汚染物質の循環と指標生物に関する総合研究」に着手する。

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