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第2節 

2 水質汚濁

 水質汚濁関係については、17の試験研究課題および工業技術院、中国工業技術試験所において着手している瀬戸内海大型水理模型の建設にかかわる予算について一括計上を行ない、これら研究の総合的推進をはかることとしている。
 47年度においては、引き続きパルプ排水、重金属含有排水、含油排水、染色排水等各種産業排水の処理技術の開発、シミュレーションモデルによる排水拡散および水質汚濁計測技術の標準化等14課題についての研究を推進するとともに新たに船舶からの排出水の油分濃度の連続計測技術、油水分離器の性能試験に関する研究(運輸省、船舶技術研究所)、海上における流出油の効率的回収を行なうための油水吸引装置の開発(海上保安庁)および下水処理過程におけるカドミウム、鉛等の重金属類の挙動および収支の究明(建設省、土木研究所)の3研究課題を取り上げることとしている。
 また、環境庁では引き続き重金属や有機性物質の海水中における浄化システムの解明、赤潮の発生機構、被害防除抑制技術についての総合的研究を継続実施する予定であり、とくに瀬戸内海における水質汚濁の深刻化、広域化に対処し、総合的な水質汚濁防止対策の確立に資するため、47年度において瀬戸内海の水質の一斉点検を行ない水質調査、栄養塩類の分布調査、プランクトン調査、底質調査、海水交換率調査等により、多角的診断を実施する。
 なお、工業技術院、中国工業技術試験所において46年度から着工している瀬戸内海全域の大型水理模型を47年度中に完工させるとともに必要な実験設備の整備を行ない、今後のシミュレーションモデルによる汚濁機構の解析等の実験研究に備えることとしており、運輸省港湾技術研究所においては、伊勢湾等の水理模型実験により海洋汚染調査を行なうこととしている。
 この他、排水規制強化のための調査研究として上乗せ排水基準調査および未規制汚濁原水質調査監視測定に関する調査研究として環境基準の達成状況を調査する。一方、排水水質取締強化を図る目的で新たに排水基準の遵守状況を調査する。また、自動水質監視機器になじみ難いBOD、CODに替る新しい汚濁標指としてTOD(全酸素要求量)をとり上げ研究に着手する。
 その他、湖沼の富栄養化対策の一環として、琵琶湖等の4湖沼について、窒素、リン等の栄養塩類の収支調査を新たに実施する。

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