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第1節 

4 自然保護行政の強化

(1) 自然公園法の規制の強化
 自然環境の破壊を防止し、これを豊かな人間生活の場として確保するため、第63回国会および第64回国会の2度にわたり自然公園法の一部改正を行ない、自然保護の徹底を期するための規定を整備したところである。
 昭和46年度においては、改正後の自然公園法に基づき、自然公園の管理の徹底を図ることとする。なお、現地管理体制を強化するために、国立公園管理員を増員することとしている。
(2) 国立公園および国定公園の新規指定と公園計画の再編成
 すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図るために、新しい自然公園の指定および区域拡張を積極的に推進する。また、富士箱根伊豆国立公園箱根地区等の公園計画を再編成し、自然環境の保護を強化する。
(3) 自然保護のための湖沼の調査
 自然公園内の湖沼は、従来、清澄な景観を特色としていたが、近年、旅館、ホテル、レストランなど湖岸に立地する施設からの排水により、湖沼の富栄養化の現象が生じてきている。このため、これら湖沼の実態をは握し、自然保護の観点からみた水質汚濁の防止のための検討を行ない、汚水等の排水の規制を行なうこととしている。
(4) 自然環境浄化対策
 野外レクリエーションの増大とともに、自然公園内の登山道や広場等の公共の場所が、ごみなどによって汚染され、美しい自然環境が著しく損われているところも見られている。自然公園内は、清掃すべき区域が広いこと、地域住民の生活の場から遠隔であること、区域内を汚すものが地域住民でない場合が多いことなどのため、市町村や公園の管理者のみに責任を負わせることが困難な場合が多い。このため、国においては46年度に都道府県、市町村と協力して美化清掃の実をあげることとし、都道府県に対して国立公園内の清掃施設の整備について補助を行なうこととしている。
(5) 自然保護のための土地買上げ
 42年度以来、自然公園法による公用制限だけでは自然環境の保護が困難である場合に、その土地を買上げて、保護の徹底を図ってきたが、46年度も5,000万円を計上し、とくに自然環境の確保を図る必要のある土地を買上げ、その公有化を推進することとしている。
(6) 自然保護思想の普及
 自然環境の保護にあたっては、国、地方公共団体の強力な行政の推進とともに、現代および次代を通じて、国民のすべてが健康で文化的な生活を享受するためには、良好な自然の確保が不可欠であるとの認識をもつことが肝要である。
 現在、民間の自然保護団体を中心として、自然保護憲章制定の運動が進められているが、これに対して必要な協力をし、自然保護思想の普及に努めることとしている。

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