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第8節 

4 通商産業省

(1) 総合事前調査等
 通商産業省においては、昭和40年度以来、今後、急速に工業化が進む新産業都市や工業整備特別地域等の大規模な新規工業地帯や既成工業地帯であって、大気汚染の著るしい地域等について、模型実験を含めた科学的かつ総合的な手法を用いた産業公害総合事前調査を、大気汚染については全国33地域および水質関係については全国24水域について実施してきたが、46年度においては、さらに全国で大気8地域、水質6水域について調査を実施する予定である。
 なお、同調査を実施した地域については、調査後の企業立地等の計画変更によって生ずる公害面への影響を、電子計算機を用いて迅速には握することを目的とした大気汚染予測システムおよび海域汚濁予測システムの開発をさらに進めることとしている。
 また、46年度に新設を計画している中国工業技術試験所の試験研究の一環として瀬戸内海の水質汚濁防止に関する研究を行なうため、47年度完成を目標として、瀬戸内海大型水理模型の建設に着手することとした。
(2) 大型プロジェクト制度
 大型プロジェクト制度により研究開発を進めている脱硫技術については、44年度をもって排煙脱硫技術の研究開発を完了したが、重油直接脱硫技術については、45年度に完成したテストプラントの運転研究を行なっており、46年中に終了する予定である。
 また、46年度から新たにガソリン自動車の排出ガスによる大気汚染防止およびエンジン騒音防止等のいわゆる自動車公害の解消に資するため、都市内走行用の内燃機関自動車に代替することのできる電気自動車を大型プロジェクト制度により開発することとしている。
(3) 特別研究等
 工業技術院傘下試験研究所における研究は、現在推進中の研究をさらに推進するとともに、46年度には新たにボイラー、各種炉等の固定燃焼装置からの窒素酸化物排出防止技術(公害資源研究所)、新捕集剤による産業排水処理技術(東北工業技術試験所)、染色工程の非水化と染色排水処理のシステム化による染色排水汚濁防止技術(繊維高分子材料研究所)、分解型プラスチックの開発(繊維高分子材料研究所)の4項目を取り上げることとしている。
 工業技術院の46年度における公害防止技術研究費等の予算額は、第7表のとおりである。
 このほか、46年度において、非シアンメッキ浴の開発に関する研究を、中小企業庁国立機関技術開発研究費予算のうち、900万円をもって製品科学研究所で行なうこととしている。なお、機械試験所は、46年4月に、その名称を機械技術研究所に変更した。


(4) 研究開発に対する補助金
 工業技術院では、従来、公害関係の技術開発については、「重要技術研究開発補助金」で民間技術の開発助成(1/2補助)を行なってきたが、46年度からはこの補助金の中に「公害特別枠」を設け、公害防止の緊急性が高い分野における技術の開発について、補助率を3/4に引き上げるとともに、工業技術協議会公害防止技術分科会に民間技術開発小委員会を設け、開発すべき対象技術の選定および達成すべき技術的目標値の設定について、関係各界の意見を聞き、その結果に基づいて研究開発課題を定めて、広く民間企業の公害防止技術の開発に資することとしており、46年度の公害特別枠の予算額は2億円である。
 また、中小企業庁では、中小企業者自身が行なう研究開発に対して、技術改善費補助金の交付を行なっているが、テーマの採択にあたっては公害関連技術を重点項目として取り上げることとするほか、中小企業に必要な技術でありながら、中小企業で開発困難な技術の開発について公立試験研究機関が行なっている研究に対し、技術開発研究費より所要の補助を行なうこととしている。
(5) 日本工業企画(JIS)の制定等
 産業公害の防止については、工業標準化の面においても、これを重点項目として、積極的にJIS規格の制定および改正と、これに必要な調査研究を進めることとしている。
ア JIS規格の制定および改正
 46年度中に公害防止の見地から制定することとしている規格は、?工業用水、工場排水試料採取方法 ?排ガス中の金属成分の分析方法 ?集じん装置の性能試験方法 ?自動車整備用一酸化炭素測定器の性能試験方法 ?ガソリン中の鉛アンチノック剤定量試験器であり、改正することとしている規格は、換気用パネル形エアフィルタである。
イ 工業標準化調査研究委託
 工業標準原案を作成するにあたっては、その対象の高度化、複雑化に対応して科学的な方法に基づく調査研究を行ない、基礎的データのは握が必要である。
 公害防止については、大気汚染物資の計測器性能の標準化を図るため、46年度から2年計画で大気汚染の測定に関する調査研究を行なうこととしている。
 46年度には、亜硫酸ガス、一酸化炭素、窒素酸化物、浮遊ふんじんの連続測定装置について、47年度には塩素、ふっ素等の連続測定装置について調査研究を行なうこととしている。

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