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第1節 

2 組織

(1) 行政組織
 45年7月15日現在、公害専門局部課(「室」を含む。)を有する地方公共団体は、37都道府県、125市町村で、昨年同期と比べて9県、70市町村の増加をみせている。
 また、公害専門係(「班」を含む。)を有している地方公共団体は、9県、455市町村で、昨年同期と比べて、8県の減少、298市町村の増加となっている。
 (注) 8県の減少は、いずれも係から課に組織を拡大したことによる。
 したがって、この一年間に、369の公害担当係以上の組織がつくられたことになり、地方公共団体の公害行政が始まって以来昨年までに組織された257の公害担当組織を大幅に上回ることとなっている。これらは公害問題の深刻化と広域化、さらには、国民の公害問題に対する認識の高まりにより、多くの地方公共団体が、組織の拡充・強化に踏み出したことを端的に示しているといえよう。
 なお、45年7月以降、係から課に組織を拡充した府県は青森県・岩手県・山形県・福島県・栃木県・京都府・鳥取県・香川県・高知県、課から局(部の下位組織で2課以上有するもの)に昇格させた県は千葉県・神奈川県・石川県・愛知県・三重県・岐阜県、局部を設置した都府県は東京都・大阪府・富山県・岡山県である。
 なお、これらの公害担当組織の職員として公害行政に携わっている者は、45年7月15日現在、都道府県1,300人、市町村1,746人、計3,046人(兼務職員は除く。)である。
(2) 審議会等の設置状況
 45年7月15日現在、46都道府県、319市町村で、323の審議会、141の連絡協議会が設けられている。
 都道府県では、60の審議会が設けられているが、このうち、「公害対策審議会」は、46都道府県のすべてに設置されている。
 「公害対策審議会」は、知事の諮問を受けて公害防止条例、規制基準等の公害防止対策の基本的事項について調査審議する附属機関であるが、第64回国会における公害関係法の制定により、公害防止事業の事業者負担、産業廃棄物に関する処理計画、農用地土壌汚染対策計画を調査・審議する任務が与えられ、その重要性を増している。
 市町村では263の審議会が設けられているが、このうち、「公害対策審議会」は229であり、残りの34審議会は個別公害対策のために設けられた審議会である。
 なお、141の連絡協議会は、いずれも庁内の連絡・調整を行なう組織であり、その内訳は都道府県40、市町村101となっている。
 次に、2以上の地方公共団体が協力して設置する広域的な協議会等は、45年7月15日現在、全国で73の組織が設けられており、昨年同期の26組織に比べ約3倍になっている。全国的なものとしては、全国公害行政協議会・全国大気汚染防止連絡協議会・全国産業公害都市協議会が、ブロツク単位のものとしては代表的なものに、関東地方水質汚濁対策連絡協議会・阪神広域大気汚染対策連絡協議会・瀬戸内海をきれいにする協議会等がある。
(3) 地方公害対策本部
 45年7月31日、内閣に公害対策本部が設置されたことに伴い、地方にも地方公共団体相互間、地方公共団体と国の地方行政機関との間の連絡調整等を図るため「地方公害対策本部」が設置されることになったが、46年2月現在、45都道府県に設置されている。
 地方公害対策本部は、知事を本部長とし、本部員には都道府県職員、市町村代表、国の地方行政機関の職員を任命または委嘱しているが、その内訳は、都道府県職員585人、市町村代表316人、国の地方行政機関の職員518人となっている。
 地方公害対策本部は、地域の公害の実態等について関係機関相互の連絡を図っているが、なかには、長野県のように、自動車排出ガス取締りを実施し、効果をあげている例もある。
(4) 監視測定体制
 公害の監視測定体制については、今回の法改正を通じ都道府県知事に、大気汚染、水質汚濁、騒音、土壌汚染の測定義務が課せられたが、45年7月15日現在、都道府県の公害の監視測定体制は次のとおりである。
 常時または定期的な測定点は4,075、随時測定点は6,625、総計1万700測定点で公害の状況を監視測定している。
 これらの測定点について公害の種類ごとの内訳をみると、常時または定期的な測定点では、水質汚濁2,674、大気汚染1,203、騒音・振動198、随時測定点では、水質汚濁1,621、大気汚染1,096、騒音・振動3,908となっている。
 昨年同期における常時または定期的な測定点は、水質汚濁約2,000、大気汚染1,068であったので、この1年間に水質汚濁約600、大気汚染約200の常時または定期的な測定点が増設されたことになる。
 一方、市町村の公害監視測定体制もかなり強化されてきており、常時または定期的な測定点は、水質汚濁1,018、大気汚染1,770、騒音・振動1,354、合計4,142測定点、随時測定点では、水質汚濁746、大気汚染278、騒音・振動7,762、合計8,786測定点となっている。
 次に、隣接する地方公共団体が協同して行なう広域的な公害監視測定体制も、公害の広域化に伴い各地で整備されてきている。45年7月15日現在、木曽川の水質汚濁について岐阜県と愛知県の間で、大気汚染では東京都と川崎市の間、大阪府と兵庫県の間、大阪府・京都府・奈良県・和歌山県・兵庫県の5府県の間および福岡県と熊本県の間で、また、航空機騒音については、大阪府と兵庫県の間でそれぞれ監視測定が協同して行なわれている。
 こうした公害監視測定体制の基礎となる監視測定機器は、45年7月15日現在で、大気汚染関係2,330台、騒音・振動関係1,318台、水質汚濁関係614台である。
(5) 公害センター、公害研究所
 大気汚染や水質汚濁の調査分析については、これまでそのほとんどが衛生研究所、工業試験場等の各種研究機関で行なわれてきたが、既存の研究機関の本来の業務との両立を図り、かつシステム的な公害規制の実施を確保することが困難になってきており、各都道府県では、公害部局に直属したあるいは公害担当課と有機的な連携をもった公害センターまたは公害研究所を設立しようとする動きが高まっている。
 現在、都道府県で公害センターを有しているのは秋田県・茨城県・埼玉県・神奈川県・富山県・愛知県・三重県・大阪府の8府県、公害研究所を有しているのは北海道・千葉県・東京都・長野県・静岡県・兵庫県の7都道県である。
 これらの公害センターまたは公害研究所のうち千葉県・神奈川県・静岡県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県等がコンピューターを活用して常時監視測定を行なっている。

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