前のページ 次のページ

第1節 

1 条例の制定状況

 公害防止条例は、都道府県および市町村の公害防止に対する基本姿勢を示すものであるとともに、地域の公害の発生を抑制し、かつ公害の発生源規制を具体的に定めるなど各種の公害を通じた防止対策の総合と補完と調整を図るものとして重要な役割をもっている。
 昭和46年3月末現在、46都道府県、45年7月15日現在70市町村が公害防止条例(騒音防止条例等公害関係条例を含む。)を制定している(第3-16-1表参照)。
 都道府県の公害防止条例の中には、公害対策基本法の規制対象公害のほか、地下水枯渇、産業廃棄物等を規制対象公害としているものもある。
 また、現在、国の各種公害規制法では、届出制・計画変更命令が採られているが、これに対し、東京都、神奈川県、兵庫県のように、工場または施設の許可制を採っているところもある。
 なお、45年12月公害関係法の大幅な改正ないしは制定が行なわれたことに伴い、大部分の都道府県で公害防止条例の改正が行なわれている。改正の傾向としては公害の未然防止に重点を置いた改正内容となっており、おもな特徴は、?環境上の基準の設定、?地域公害防止計画の策定、?公害防止協定の締結義務、?立地規制等が定められている。
 環境上の基準の設定は、地域の望ましい環境を実現し維持するために積極的な公害行政の具体的目標値を設定しようとするものであり、神奈川県、静岡県、大阪府、富山県がこの規定を改正案に折り込んでおり、東京都、福島県では、すでにこの規定を設けている。
 地域公害防止計画は、公害防止のためには総合的な生活環境整備が必要であるという観点からの規定であり、宮城県、茨城県、東京都、神奈川県、静岡県、大阪府、富山県が計画の策定を規定している。
 公害防止協定に関する規定は、公害の未然防止に有効な協定を条例上にも位置づけようとするものであり、茨城県、京都府等がこの規定を設けている。立地規制については東京都、神奈川県、兵庫県に引き続いて今回の改正では大阪府、京都府がばい煙発生施設等の許可制を導入している。
 このように公害防止条例は地方公共団体の公害防止に対する積極的な姿勢を反映して制定されているが、先日の法改正でも大気汚染、水質汚濁に関し都道府県は地域の自然的、社会的事情に応じて必要があると認めるときは、条例で、国の一律基準に代えて上乗せ基準を設定することができることとするとともに法律の規制対象項目以外の項目についても規制できるものとした。
 市町村の公害防止関係条例は、45年7月15日現在、70あるが、その内訳をみると、公害防止条例25、騒音防止条例25、天然ガス採取規制条例11、公災害防止条例3、公害予防条例1、ばい煙防止条例1、海水汚濁防止条例1、あき地の環境保全条例1、環境衛生条例1、無公害都市建設基本条例1となっている。
 市町村の公害防止関係条例の制定の動向をみると、都道府県と同様の公害防止条例を制定するものと、市町村独自の公害防止関係条例を制定するものとがあるが、最近では、公害防止協定に関する規定を設けて、公害防止における市町村の権限を協定で担保するという動きがみられる。この代表的なものとしては、「新潟市公害防止条例」および「千葉市公害防止協定の締結に関する条例」がある。また、伊丹市のように航空機騒音について規定を設けている条例もある。

前のページ 次のページ