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第2節 

3 一般廃棄物の処理

 一般廃棄物の処理は、市町村の義務となっており、市町村は、その管轄する区域内の住民から排出される一般廃棄物を一定の計画に従って収集し、処分しなければならないものとされている。
 現行の清掃法においては、市町村が一般廃棄物を収集する区域は、都市区域を中心とする特別清掃地域に限られているが、廃棄物の処理および清掃に関する法律の制定によって、特別清掃地域の制度が廃止されたので、今後、市町村は原則としてすべての集落について一般廃棄物の収集を行なうことになろう。
 もちろん廃棄物の処理及び清掃に関する法律でも、市町村の一般廃棄物の収集区域について「市町村長が政令で定める基準に従い指定する区域を除く」と規定されているので、市町村の全域が収集区域になるのではないが、この基準では全人口の95%が収集人口となるように考えている。
 このように、市町村には大きな廃棄物処理の義務が課せられているが、この市町村の義務と対応して、市町村の住民に対しても、自ら容易に処分することのできる廃棄物は、なるべく自ら処理するとともに、自ら処分しないものについても、可燃物と不燃物をそれぞれ別の容器に収納し、粗大ごみを所定の場所に集めるなど、市町村の清掃事業に対する協力義務が課される。また、事業活動に伴って多量の一般廃棄物を排出する事業者に対しては、排出者責任の原則にのっとって、市町村長がその廃棄物を運搬すべき場所および方法を指示することができるものとされている。
 一般廃棄物の処理は市町村の責任であるが、市町村の清掃事業による収集が困難な一般廃棄物もあり、市町村の処理区域外の農村地帯もあるので、現行の清掃法において「汚物取扱業者」が認められているのと同様に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律においても市町村の清掃事業を補完するものとして「一般廃棄物処理業者」が認められている。
 なお、下水道の布設されていない地域で水洗便所化を促進するため、し尿浄化槽の普及が図られているが、し尿浄化槽人口が1,000万人にも達しようとしているのでし尿浄化槽を清掃し、汚でいを処分する業者として「し尿浄化槽清掃業者」を新設した。

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