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第2節 

2 事業者の責務

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律において定められている「事業者の責務」は3点に要約することができる。
 第1点は事業者は、「その事業活動に伴って生ずる廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」というものである。この排出者責任の原則は、たとえば産業廃棄物の処理の体系においては、事業者が産業廃棄物を収集、運搬および処分の基準に従って自ら処理しなければならないという形で具体化されることになる。
 現行の清掃法にあっては、事業者の処理責任が明確になっていないので、廃棄物の処理が必ずしも適正に行なわれていないという実情を考慮すると、事業者の処理責任の明定は、今後の廃棄物対策を大きく前進させるものとして評価することができよう。
 第2点は、事業者は、「その事業活動に伴って生じた廃棄物の再生利用等を行なうことによりその減量に努めなければならない」ということである。廃棄物処理の立場から廃棄物の量が少ないことを望むのは当然であるが、原料の大部分を外国からの輸入にたよっているわが国の産業の実情からも、廃棄物の資源化を図り、再生利用のみちを考える必要があることは自明のことである。
 第3点は、事業者は、「物の製造、加工、販売等に際して、その製造、加工、販売等に係る製品、容器等が廃棄物となった場合において、その適正な処理が困難になることのないようにしなければならない」というものであり、その趣旨は、事業者はその生産物が終局的には必ず廃棄物として排出されざるをえないということを考慮し、その生産物が廃棄物となった場合に適切な廃棄物処理ができるように、必要な措置を講じなければならないというものであって、処理の排出者責任と同様、今後の廃棄物対策の方向を左右する重要な規定といえよう。

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