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第3節 

3 通商産業省の調査

 通商産業省の調査は、鉱山・製錬所について、45年6月から12月の間に、カドミウムに関係のある鉱山・製錬所の環境水域および環境大気中のカドミウム濃度に関するものである。調査は、62鉱山および31製錬所について行なわれた。
 このうち、排水についてみると、鉱山の排水は、総合排水の水質(個別排水の負荷量の和を総排水量により除したもの)がカドミウムに関する排出基準を上回ったものは62鉱山中2鉱山であり、個別排水中のカドミウム濃度が0.1ppmを上回った鉱山は5鉱山であった。製錬所の排水については、いずれも排出基準(0.1ppm)に適合しており、個別排水が0.1ppmを上回った製錬所は1製錬所であった。また、鉱山保安法適用外の製錬所は6製錬所であり、このうち1製錬所が排出基準を上回っていた。
 通商産業省は、これらの検査結果に基づき、たい積物からの滲出水の防止およびその処理、坑水処理の強化、旧坑口からの坑水の排出防止のための坑口閉そくなどの措置を講じさせている。
 一方、カドミウムを排出するおそれのある工場については、45年7月から10月の間に全国のカドミウムを使用する252工場についての総点検による採水分析ならびにカドミウムの使用形態、使用状況等の調査を実施した。調査の結果、56%の工場の排水の水質が0.1ppm以上の値を示していた。
 これらの工場に対する対策を含め、いっせい点検に基づくカドミウムによる環境汚染防止対策として種々の対策を講じているところである。

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