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第2節 

3 流域別下水道整備総合計画

 今回の下水道法の改正において、今後の水質公害防止対策上きわめて大きな効果を期待されるものは流域別下水道整備総合計画である。これは、公害対策基本法に基づき水質汚濁に係る環境基準が定められた公共用水域のうち、水質汚濁源が2以上の市町村から発生し、当該環境基準を達成するために下水道の整備が必要な水域において樹立する下水道整備に関する総合的な基本計画である。この計画は水質環境基準を守るために必要な多くの対策と規制の方針ともいうべき総合的な水質保全計画の一環として、下水道が果たすべき役割を最も合理的かつ効果的に行なうために定めるものであり、今後の当該流域の下水道事業の基本方向を示すとともに個別の下水道計画の上位計画となるものである。したがって、計画の内容は国の施策とも密接な関連を有するため、都道府県は計画策定に当たってあらかじめ関係都道府県および関係市町村の意見をきくとともに建設大臣の承認をうけることとなっている。
 流域別下水道整備総合計画では流域内の自然的条件、土地利用の見通し、水利用の見通し、汚水の量および水質の見通し、下水の放流先の状況、下水道整備に関する費用効果分析等を勘案のうえ、下水道の整備に関する基本方針、下水道整備計画の対象区域、下水道の根幹的施設の配置・構造・能力および事業の実施順位等を定めることとなっている。
 また本計画は河川等に関する事業計画、とくに水資源の開発を含む利水事業と密接な関係にあるため計画策定に当たっては十分連絡調整を図る必要があり、本計画の承認に際し建設大臣は環境庁の設置に伴い環境庁長官と協議することとしている。建設省は流域別下水道整備総合計画の必要性にかんがみ主要な流域については調査に必要な経費についてその1/3を補助することとした。

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