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第1節 

3 光化学スモッグ対策

 大気中の窒素酸化物、炭化水素等が紫外線と作用してオゾンその他の過酸化物を二次的に生成し、これが特殊な気象条件のもとでスモッグを形成した時にこれを光化学スモッグといっている。したがって光化学スモッグ対策は、光化学スモッグの起因物質である窒素酸化物、炭化水素等の大気汚染物質の排出を規制することがその基本となる。光化学スモッグの起因物質である窒素酸化物、炭化水素、オキシダントなどの環境基準を設定することを検討中であることは第2章、第4節で述べたとおりである。発生源対策としては、この環境基準の設定を前提として、窒素酸化物を新しい大気汚染防止法の常時排出規制の対象に加える方向で検討を進めている。また、自動車排出ガス中の窒素酸化物についても、運輸技術審議会の長期規制目標に基づき、排出規制を行なうこととしている。炭化水素については、そのおもな発生源が自動車であることから、やはり新大気汚染防止法で「自動車排出ガス」として一酸化炭素等と同様に排出を規制することにした。
 また、大気汚染防止法では気象状況の影響により大気汚染が急激に著しくなり、人の健康や生活環境に重大な被害が生ずる事態が発生したとき、つまり重大緊急時が発生した場合、ばい煙の量あるいは濃度の減少措置やばい煙発生施設の使用制限等ができることとし(23条4項)、道路交通法では大気の汚染防止のための交通規制が行なえるみちをひらいた。これは工場および事業場に対する窒素酸化物の排出規制、自動車排出ガス中の炭化水素の排出規制を常時行なっていても気象の急変により運悪く光化学スモッグが発生し、重大な人体影響が生ずることも考えられるので、それを防止するためにとられた措置である。もちろんこの条項は、光化学スモッグ対策のものに限定したものではなく、いおう酸化物、一酸化炭素、ばいじんなどにも適用されるものである。

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