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第1節 

4 鉱煙による鉱害の防止

 鉱山における鉱害の防止については、鉱山保安法に基づき、全国8か所の鉱山保安監督局(部)の鉱務監督官が鉱山労働者に対する危害を防止するとともに、一元的な監督指導を行なっている。
 鉱煙およびふんじんによる鉱害の防止については、古くから製錬所の離島への移設、高煙突の設置、処理設備の強化等各種の対策が講ぜられ、鉱煙による鉱害の発生は相当減少してきている。
 45年度においては、検査日数の増加を図るとともに、監督検査用の精密検査機器を整備拡充し、鉱煙の発生源に対する検査のみならず広域にわたる環境の精密検査等も実施し、その検査の結果に基づき鉱煙の処理方法の強化等について具体的な監督指導に努めることとした。
 従来、大気汚染防止法の指定地域内にある鉱山については同法に基づく排出基準により、また、指定地域外の鉱山については周囲の状況等を勘案して同法の基準に準じた排出基準により監督検査を行なってきたが、45年6月に金属鉱山等保安規則等の改正を行ない、鉱煙の排出基準を定め、全鉱山に対して排出基準遵守を義務づけることにより公害防止に万全を期することとした。
 なお、鉱煙中のカドミウムについては、大気を媒体としたカドミウム環境汚染が懸念されるに至ったため、44年初頭以来、主要製錬所における鉱煙中のカドミウムの排出について検査を強化するとともに、同年9月厚生省が発表した「カドミウムによる環境汚染暫定対策要領」に示された数値を監督基準に取り入れて監督を行なうこととした。
 また、石灰か焼場等から発生するふんじんによる鉱害を防止するため、従来より石灰消化法の転換、発じん部の被覆および密閉等の対策を講じさせることによって極力ふんじん発生量を押えてきたが、さらに鉱害防止に万全を期すため45年6月ふんじんについても金属鉱山等保安規則等の改正によって排出基準を定め基準の遵守を義務づけた。

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