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第2節 

6 環境基準の改訂

 環境基準は、固定的なものではなく、科学的な判断の向上、水域利用の態様の変化、水質汚濁源の状況の変化等に伴い、適宜見直しを行ない対象項目の追加、基準値の変更、各水域の該当する水域類型の変更等を行なうものとされている。
(1) 対象項目の追加
 人の健康の保護に関する環境基準は、シアン、メチル水銀等の7項目について基準が設定されていたが、45年5月29日に、新たに総水銀を追加するとともに、従来のメチル水銀をアルキル水銀に改めた。これにより、健康に関する項目は8項目となった。基準値は、総水銀、アルキル水銀ともに「検出されないこと。」とされ、その測定方法は、総水銀はジチゾン吸光度法、アルキル水銀は従来のメチル水銀と同方法とされた。
 また、生活環境の保全に関する環境基準については、45年5月29日に大腸菌群数を河川、湖沼、海域に追加する閣議決定が行なわれたほか、46年3月22日にn-ヘキサン抽出物質(油分等)の基準値を海域に追加する旨の水質審議会の答申が行なわれた。政府においては、近く、この項目追加を決定する予定である。水域類型ごとの基準値は、第3-2-1表の2のとおりである。
 (注)「検出されないこと」とは、定められた測定方法による「定量限界」以下をいい、「定量限界」とは、一定の誤差の範囲内で測定可能な下限をいう。
(2) あてはめ権限の委譲
 第64回国会で成立した公害対策基本法の一部改正において、環境基準が2以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型をあてはめる地域または水域を指定すべきものとして定められる場合には、政府は当該地域または水域の指定を都道府県知事に委任することができることとされた。このため、環境基準のあてはめ権限を都道府県知事に委譲することに関する環境基準の改訂につき、46年3月22日水質審議会の答申がなされた。政府においては、近くあてはめ権限の都道府県知事への委譲を行なう予定である。

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