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第3節 騒音

 騒音に係る環境基準については、公害対策基本法により、大気汚染、水質汚濁および土壌汚染とならんで環境基準の設定が予定されており、すでに関係審議会の答申も出され、政府における検討もほぼ終えた段階にあり、近く正式に決定される運びとなっている。
 騒音を大別すると、工場騒音、道路交通騒音を中心とした一般騒音と鉄道騒音、航空機騒音のような間けつ的、衝撃的騒音を中心とする特殊騒音に分けることができる。近く設定が予定されている騒音は、この一般騒音についてであり、特殊騒音については、引き続き生活環境審議会の専門委員会において検討が進められている。
 騒音に係る環境基準の具体的内容は、昨年の12月25日に生活環境審議会から厚生大臣に答申のあった「騒音に係る環境基準の設定について(第一次答申)」に沿って取りまとめられることとなるが、その考え方、基準値等は、おおむね次のようになっている。
 騒音の環境基準の基準値については、大気汚染の基準値が人の健康を中心に考えて設定されているのに対して、生活環境の保全に重点がおかれている。これは狭義の健康被害をきたす騒音のレベルが、睡眠妨害等の騒音レベルに比べてきわめて高いレベルにあることによるものである。
 したがって基準値は、聴力損失等の人の健康に係る器質的、病理的変化の発生の有無を基礎とするものではなく、日常生活において睡眠妨害、会話妨害、作業能率の低下、不快感等をきたさないことを基本として、おおむね次のように設定されるべきものとしている。
 また、同答申は、基準値にあわせて、騒音の測定方法、測定場所、測定時刻についても具体的に示すとともに、道路交通騒音を中心とする都市騒音の実態からみて、政府の積極的な施策と国民の協力なくしては、騒音の環境基準の達成は困難であると指摘している。
 なお、騒音の環境基準については、先般の公害対策基本法の改正に伴って、地域類型のあてはめが都道府県知事に委任される予定である。

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