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第1節 

2 自然公園等の現況

(1) 国立公園・国定公園
 わが国の自然公園体系は、昭和6年の国立公園法制定以来、32年の自然公園法制定を経て、現在、23の国立公園、44の国定公園、279の都道府県立公園に発展し、国土総面積の13.2%を占め、国土の自然保護と国民の野外レクリエーションの場として重要な役割をはたしつつある。
 しかし、最近における全国的な自然破壊や環境汚染の現象に対処し、健全な精神と生活の基盤である自然を保護し、これを積極的に活用しようとする機運が全国的な規模で高まりつつある。したがって自然を求める国民の世論に答えるべく、自然公園体系の整備拡大を図る必要がある。
(2) 海中公園
 自然公園法は45年5月に一部改正され海中公園の制度が設けられた。
 この制度は、国立公園、国定公園の海面内の地域のうち豊富な海中生物を乱獲から保護するとともに、海中景観を保護する必要性が特に強い地域を厚生大臣は海中公園として指定することができることとするものであり、この海中公園地区は、現在第2-9-1表に示すとおりである。これらは石サンゴ類、海トサカ類、熱帯魚類等の景観要素からなる亜熱帯の海域から、ホンダワラなど海草類の林立する亜寒帯の海域までにわたる美しい色彩を呈している地区である。
 従来から、海中生物の乱獲等によって海中景観が失われてきた地域が見うけられることにかんがみ、この海中公園地区においては、美しい海中生物の採捕が制限され、海底の形状変更等海中景観の保護および利用の障害となる行為は制限または禁止されている。


(3) 東海自然歩道
 昭和44年に発表されて以来、広く国民の支持を受けた東海自然歩道は、歩きながら国民がすぐれた自然環境に接することができることとするとともに、帯状の自然公園地帯を利用して、現在進行している人口や産業の集中等にともなう都市のスプロール化に対して、自然破壊の防波堤とすることを目的として作られたものである。この歩道は、東京から大阪までのいわゆる東海道メガロポリスの外縁部に存在する自然公園を連絡する、幅1.5m、長さ1,376.4kmの長距離歩道としてわが国最初のものであり、45年度末現在で、計画の約1/6が完成し、既に国民の利用に供されている。

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