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第2節 

2 一般廃棄物の処理

 し尿の処理状況ならびに便所の水洗化の動向は、第2-7-1表に示すとおりである。
 くみ取りし尿の計画収集量は、水洗化人口の伸びにもかかわらず処理区域の拡大に伴って増加を続けている。
 一般に水洗化による処理と、くみ取ったし尿をし尿処理施設に運んで処理する方法とを合わせて衛生的処理と呼んでいるが、公共下水道の終末処理場に余裕能力のある場合には、くみ取りし尿を直接マンホールに投入する方法も一部で採用されている。
 くみ取りし尿についての衛生的処理率は、40年当時の47%に比較すればかなり改善されたとはいえ、44年度においていまだ70%に達していない状況である。
 水洗化人口の推移をみると、国民の要請に即応するものとして浄化槽による人口の伸びが顕著である。水洗便所は公共下水道に導いて処理する方法が最善であるので、小規模浄化槽の増加に対しては、その維持管理知識の普及に努めるとともに、低質の放流水による近隣水域の汚濁を防止するよう指導体制の強化が望まれている。
 ごみ処理の状況は、第2-7-2表に示すとおりである。
 ごみの処理は、現在、まず焼却し、減量化、安定化を図ったのちに埋立てを行なう方法を基本としているが、44年度末においては、およそ1/2が焼却されているにすぎず、なお、相当量のものが直接に埋立てによって処分されている。
 し尿の1人1日当たり、排せつ量は1.0〜1.5l程度の生理的範囲にとどまる性質のものであるのに対して、ごみは所得水準の上昇と相関して増加する傾向にあり、40年以降の平均伸び率は年率5.9%を示していて、この成長が持続するものとして推計すると、44年の870gが50年には1,000gをこえることは確実と思われる。
 ごみの増産と質の両面をかねた問題として、粗大ごみと呼ばれる耐久消費財を中心とした大型の廃棄物の処理問題がある。
 現在、各種の耐久消費財の家屋内での蓄積は、狭小な住宅事情等も加わって限界に達しており、定期的収集制の確立が望まれている。しかし、粗大ごみは、大型で不燃物を多く含んでいるので、破砕、圧縮等の新しい処理技術を導入しないかぎり従来からの処理処分方法になじまないため、しばしば空地等に放置され、あるいはそのまま埋立てられる場合が多く、早急にその改善を図る必要に迫られている。
 第2-7-3表は、都市ごみ中のプラスチック系廃棄物の混入率を示したものである。
 プラスチックは、その処理に際して焼却すると高温を発し、あるいは腐蝕性ガスを発生して炉を損傷するものもあり、また、自然分解速度がきわめて小さいことから従来の埋立方式をそのまま適用しても問題のあることが指摘されている。
 現在、市町村の保有する2,200か所のごみ処理施設の性能からみると、平均10%程度のプラスチック混入率が限界といわれているので、表に示す数値の推移からみて、使い捨て方式の容器類や包装材料の繁用が促進されることになれば、市町村の清掃事業は大きな打撃を受けるものと憂慮されている。今後、相当の資本を投下し、技術の高度化を図らない限り、このような事態をさけることはできないであろう。

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