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第2節 

1 廃棄物処理の概況

 生活環境を常に清潔で快適な状態に保つためには、人の日常生活に伴って生ずる一般廃棄物のみでなく、事業活動に伴って生ずる産業廃棄物についても、これらの廃棄物がわれわれの身辺に滞積することなく、すみやかに収集され運搬されて、さらに生活環境を保全する見地からも支障のないような方法で処理、処分されることが必要である。
 地域住民の日常生活と密接な関係にあるし尿や家庭からのごみの処理は、現在に至るまで市町村の清掃事業を中心に実施されている。
 産業廃棄物については、工場または事業場からの多量または特殊な汚物として、その運搬および衛生的処理についての市町村長の命令が発せられるしくみとなってはいるが、実態は事実上排出者の意志に任されているといっても過言ではない。
 近年の人口の都市集中と高密度社会の形成は、その集積効果を背景として産業活動の過度の進展を可能にし、経済の高度成長を持続させてきたが、その経済社会活動の避けがたい所産として狭い限られた地域内に膨大かつ多様な廃棄物を蓄積させ、環境汚染を形成するに至り、その処理処分対策は、環境計画上の重要な課題となってきた。
 かかる現状に対処するため第64回国会に他の公害関連法案とともに清掃法の全面改正案が上提され、名称も「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」と改められて制定することとなった。

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