3 重金属の発生源
重金属による人為的な汚染の発生源としては、金属鉱山・金属精錬所、金属化合物(染料、農薬、試薬、薬品等)を製造し、または使用する化学工場、金属を二次加工し、または使用する金属工場、電気部品工場等がある。そのほか、自動車排出ガスからの鉛、重油燃焼によるバナジウムなどは都市における人為的な環境汚染の一因となっている。また、家庭の焼却炉やごみ焼却場から立ちのぼるばい煙の中には罐詰の空罐からの錫、トタンからの亜鉛、塗料からのチタン、バリウム、鉛、亜鉛、銅、水銀、カドミウムおよびプラスチックからの鉛、亜鉛、錫等が酸化物として排出することもありうる。また、肥料にはマンガンを含むものもあり、農薬にはヒ素、銅、錫、マンガン、亜鉛および水銀の各化合物が使われている。
これら種々の発生源から環境に排出された重金属は、大気、飲用水および農作物を媒体として、またはこれを摂取した動物を媒介として人間に蓄積される。人が摂食した物の中の金属は最終的には排泄物となって公共用水域に排出される。人口が集中すればこの量も無視できないくらいの値となっている。
以上のようにみてくると重金属を扱う事業所周辺はもとより、大都市においても各種重金属が排出、蓄積される条件のあることがわかる。