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第1節 

4 土壌汚染による被害

 土壌汚染による被害は、鉱山、工場等から排出される廃水、ばい煙等に含まれる有害物質により、農用地の土壌が汚染され、その結果そこに生育する農作物等の生育が阻害されたり、あるいはそこで人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産されることにより生ずるものである。
 土壌汚染の原因となる物質としては、現在、カドミウム、銅、亜鉛等の重金属類がその中心であると考えられるが、これらのうち、カドミウムについては、人の健康上問題のあるものとして、また、銅、亜鉛については、農作物等の生育を阻害するものとして考えられている。
 重金属類に起因する土壌汚染の被害の実態については、必ずしも明確ではないが、重金属類によって汚染されている農用地およびそのおそれがある面積は、おおむね3万7千ヘクタールと推定され、また、これらの被害農用地については、2種類以上の重金属による複合汚染の場合が多いとされている。
 なお、カドミウムによる土壌汚染が進んでいるところとしては、現在「カドミウムの環境汚染要観察地域」として指定されている地域等があげられ、また、銅、亜鉛による汚染が進んでいるところとしては、栃木県・群馬県の渡良瀬川流域、秋田県の米代川流域等があげられる。

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