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第2節 

3 新潟

 新潟地方には豊富な地下天然ガスがあり、一部において自家用燃料として使用されていたが、昭和27年ごろから工業用ガス原料として盛んに使用されるようになった。この天然ガスは水溶性であるため、ガス採取に伴って地下水がくみ上げられ、地上において分離した地下水はそのまま排水されている。30年ごろからの天然ガス需要の増大に伴い地下水のくみ上げ量は急激に増大し、工業用ガス採取に伴う地下水くみ上げ量は28年に14万8,000m
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/日であったが、34年には約60万m
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/日に達したため、地盤沈下は急激に増大した(第2-4-5表参照)。
 沈下の原因については、科学技術庁資源調査会を中心として34年から35年にかけて行なわれた調査研究の結果、そのおもな原因は地下水の大量かつ急激なくみ上げによるものとみざるを得ないという結論であった。天然ガス鉱業権者は、その報告を遵守して、自主的に採取を規制し、2次にわたる通商産業大臣の勧告による規制および3次に及ぶ自主規制を行なった結果、44年の地下水揚水量は13万m
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/日と減少した。一方、自家用天然ガス採取に伴う排水規制は、関係市町村条例の制定によって進められ、37年には、約12万m
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/日の排水量であったものが、44年では約7万m
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/日となった。ちなみに、ビルその他の雑用水は現在約6万m
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/日が排水されている。
 これらの総合的長期的方針に基づく地盤沈下防止対策を推進した結果、従来かなりの沈下を示していた地域(新潟市港湾地域40〜50cm/年(34年))においても、その沈下量は減少し、全体的に緩和している。現在、最大沈下量を示しているところは、沿岸部、内陸部の一部にみられ、その量は、年間5.0cm程度となっている(第2-4-7図および第2-4-8図参照)。

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