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第4節 

2 農業被害

 水質汚濁による農業被害は、近年における産業活動の活発化と都市化の進展に伴い、都市の近辺、工場の近傍あるいは鉱山の下流域等においてその発生をみている。
 水質汚濁による農作物に対する被害は、汚濁物質が直接農作物に被害を与える場合と、これらが土壌中の微生物の活動に影響を与え、あるいは、土壌に蓄積しその理化学性等を悪化し、その結果間接的に農作物に被害を与える場合とがある。その態様は汚濁物質等の種類、濃度のほか、農作物の種類、品種、生育時期、土壌の種類によって異なる。
 農作物に被害を及ぼす汚染物質としては、都市汚水および工場排水に伴う有機物のほか、工場排水および鉱山排水に伴う塩類、重金属がある。
 44年度に全国の水田を対象として行なった水質汚濁に係る農業被害調査の結果によれば、人為汚濁による全国の被害農家戸数は約33万戸、被害地区数1,500地区、被害面積は約18万ヘクタールに及んでいる(第2-2-14表参照)。これを40年度の調査結果と比較すると、4か年のうちに被害面積が約50%増加している。このほか金属鉱山等の排水が流入している農用地では、人体に有害なカドミウム汚染を受けた米が生産され、大きな社会問題になっている。

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