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第2節 

3 港湾

 港湾における海水の汚濁は、陸上より排出される汚水の影響を強く受け、とくに海水の循環の悪い水域において著しい。一般には、都市下水、工場排水等が多量に流入する都市河川河口周辺および奥まった運河等の汚濁が著しい。
 主要港湾の水質は、おおむね汚濁されており、化学的酸素要求量(COD)8ppm(水質汚濁に係る環境基準「海域」のC類型の基準値)をこえるところがかなりある。とくに、田子の浦港、洞海湾、岩国港、名古屋港、伊予三島・川之江港等の水質の汚濁が著しい。これに比べ、八戸港、釜石港等の東北地方の港は、汚濁がそれほどには進んでいない(第2-2-9表参照)。
 港湾の水質汚濁の原因としては、出入船舶からの油等の排出、沿岸立地工場の排水、汚濁された河川の流入、し尿等の投棄等がある。後背地に大都市が控えている港湾においては、河川におけると同様、汚濁源は多用であるが、なかでも流入河川の水質が著しく悪化しており、これが港湾における水質悪化の主因となっており、さらに、潮流の関係で港外にまで汚濁を拡大させている。これに比べ、三田尻湾、佐伯湾、釜石港等地方都市における港湾にあっては、特定の工場からの排水がおもな汚濁源となっている。

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