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第2節 

5 降下ばいじん

 降下ばいじん量は、大気中のすす、ふんじんなど粒子状汚染物質のうち、主として比較的粒子の大きい、沈降しやすい粒子の量を1か月を単位としてデポジットゲージなどで測定するもので、この結果は1km
2
当たりに換算したトン数で表わされる。通常総量で表わすが、さらにそれを分析して不溶解物質、溶解物質、タール分、灰分等を求め成分ごとの濃度推移をも明らかにしうる。
 わが国の主要都市における降下ばいじん量は、昭和35年ごろをさかいに全般的に低下傾向が著しい。これは、石炭から石油へのエネルギー転換や、すす、ふんじんを多量に排出する工場における集じん設備の整備による点が大きい。
 主要都市の降下ばいじん量は、最近数年間ほぼ10〜20トン/km
2
/月の範囲にある。かつて煙のまちと称された川崎市の工場地帯の田島地区で36年に55.6トン/km
2
/月であった降下ばいじん量も44年には29.7トンとなり、同市の商業・住宅地帯では、おおむね10トン以下となるなど大きく減少しており、他の都市の多くも同様な傾向にある(第2-1-12表参照)。しかしながら、北九州市等の地域のように漸増の徴候が最近みられるところもある。

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