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第2節 

3 窒素酸化物

 一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)を主体とする窒素酸化物は、石炭および石油等の物の燃焼に伴って発生する。その大口の排出源は工場、ビルおよび自動車である。これらの発生源の増大に伴って窒素酸化物の濃度の高い所がみとめられ、いおう酸化物や一酸化炭素とともに、関係者の間では注目されていたが、昨年度のいわゆる光化学スモッグ事件が契機となって、光化学スモッグの起因物質の一つとしてにわかにクローズアップされてきた。
 窒素酸化物は、高温燃焼の過程でまずNOのかたちで生成され、これが大気中に放出されたあと酸素と結びついてNO2となる。この反応の過程で紫外線やある種の炭化水素が関与してオゾンなどの過酸化物を二次的に生成し、気象条件等の特殊な条件がそなわると、これらの物質によって光化学スモッグが形成されることもある。
 厚生省が東京都内3地点の常時測定所および国設大気汚染測定網で測定している結果は第2-1-5表第2-1-6表および第2-1-7表に示すとおりである。東京都内3地点におけるNO濃度およびNO2濃度の一時間値の年平均値は増加の傾向が明らかにみられる。

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