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第2節 

4 欧米諸国における環境保全行政の進展

 わが国においては、昭和45年末の第64回国会(いわゆる公害国会)において、公害関係各法の抜本的な改正準備を行ない、直接的な健康被害の防止や処理に重点を置きすぎていた従来の公害行政から環境保全行政への飛躍的な発展を図るとともに、これらの関係行政をこの7月に発足予定の環境庁に一元的に所掌させることにより、総合的な環境保全行政を強力に推進することとしているが、欧米諸国においても次のように環境保全行政の拡充強化が図られている。
(1) スウェーデン
 スウェーデンは、すでに1967年に総務、自然保護、水質管理、大気管理の4部と附属機関としての研究所からなる環境保護庁を設置し、環境対策の推進に努めているが、1969年7月には大気汚染、水質汚濁、騒音等の公害事象に一元的に対処する環境保護法を施行し、さらに施策の拡充強化を図っている。
(2) アメリカ
 アメリカ合衆国においては、公害対策を1970年代の最大の課題とし、積極的に環境汚染問題に取り組んでいる。ニクソン大統領は、1970年1月の一般教書において公害問題に対する積極的な決意を表明したが、同年2月には、水質汚濁、自動車排出ガス、廃棄物等に関し、37項目の具体的な対策を明らかにした環境汚染防止特別教書を示し、さらに、同年8月には、環境問題白書を発表した。
 また同年12月には、水質、大気汚染防止、農薬、放射線、廃棄物の5局と10か所の地方事務局からなる環境保護庁を新設し、環境保全行政の総合的推進を図っている。
(3) イギリス
 イギリスにおいては、1970年5月環境汚染に関する報告書を発表し、同年11月には従来の住宅・自治省、建設省および運輸省の三省を統合して環境省を設置した。環境省は、住宅、建設、自治開発の3部門から構成されているが、公害対策については、環境省内に施策の立案と各部門間の調整等を行なう公害対策本部を置き、その効果的推進を期している。
 以上の三国のほか、フランスにおいても1971年1月に環境省が設置され、またカナダなどにおいても、環境庁設置の動きがある。

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