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第2節 

2 海水の汚濁の防止のための対策

 船舶の油等による海水の汚濁の防止については、船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(海水油濁防止法)等に基づき、船舶からの油の排出の規制、廃油処理事業等の適正な運営の確保、廃油処理施設の整備等を昭和44年度に引き続き行なうこととしている。とくに、廃油処理施設の整備の促進を図るため、所要の助成措置を講じている。
(1) 船舶の油の排出規制
 海水油濁防止法に基づく油の排出規制にちては、45年11月22日からすべての規制対象船舶に対し、すべての規制対象油の排出が規制される。これに伴い、必要な検査、取り締まりなどを行なう。
 また、44年10月IMCO(政府間海事協議機関)総会において、1954年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約(1962年改正分)の改正案が採択されたので、この改正条約の受諾に必要な国内法の改正を検討していくこととしている。
(2) 海水油濁防止施設の整備
 45年度における廃油処理施設の整備のうち、民間に整備を期待している施設は全国で約13か所であり、これらのうち必要があるものに対しては日本開発銀行の融資を行なうこととしている。また、港湾管理者が整備する港のうち、44年度より継続して整備しているのは水島、鹿島および清水の3か所、新規に着工するのは北海道の函館であり、総事業費約4億9,000万円、うち国庫補助が1/2の約2億5,000万円である。
 以上の整備が進めば45年度までに民間整備の施設25施設と港湾管理者整備の施設7施設、計32施設の整備が完了することとなる。
(3) 監視取り締り体制
 船舶または臨海工場から流排出する廃油あるいは廃液、投棄されるし尿その他の汚物による海水汚濁に対して、海水油濁防止法、工場排水規制法、港則法、水産資源保護法、清掃法等に基づき、これらの汚濁が多発している東京湾、伊勢湾および瀬戸内海に重点を置いて、巡視船艇、航空機を効率的に運用し、積極的に取り締りを実施するとともに、これらの取り締りに必要な測定鑑識器材の整備を図ることとしている。
 また、海水油濁防止のため、海水油濁防止法の周知に努め、さらに関係機関および関係諸団体に海水油濁の監視、通報について協力を依頼し、官民協力して海水汚濁の防止に努める。

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