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第1節 

2 自動車排出ガスの規制

 一酸化炭素に係る環境基準の設定に伴い、自動車排出ガスの規制として次の対策を講ずることとしている。
(1) 一酸化炭素の排出規制
 現行の排出ガス規制は、ガソリンを燃料とする新車に対して、一定の運転条件(4モード)における一酸化炭素の排出濃度を2.5%以下に規制しているが、今後さらに規制対象の拡大と規制方法の合理化を図るため、次のような施策を講ずることとしている。
ア 昭和46年1月から新たに軽自動車およびLPGを燃料とする新車も規制対象に加えること。
イ 使用過程車に対し、45年8月から車両検査の際にアイドリング時の一酸化炭素濃度の検査を実施することとし、規制値を、新車4.5%、中古車5.5%とすること。
ウ 現在行なわれている最大値規制方式を再検討し、最大値および平均値規制の併用方式、すなわち各型式ごとの生産車について、それぞれ排出濃度の最大値および平均値を規制する方式を検討し、46年度から実施するため、すみやかに規制値を決定すること。
エ 現行の新車に対する規制は、排出ガス中に含まれる一酸化炭素の容積比率による濃度(%)を規制する方式であるが、大気中の一酸化炭素の総量を努めて抑制するため、欧米諸国の例を参考にしてわが国においても近い将来に、重量規制(単位走行距離当たりに排出される一酸化炭素の重量の規制)に移行することを検討することとし、測定方法の開発研究を促進すること。
(2) 炭化水素の排出規制
 自動車から排出される炭化水素については、人体その他に及ぼす影響を極力抑制するため、45年9月から新型車に、46年1月から継続生産者にブローバイ・ガス(エンジンから燃えないまま漏れるガス)還元装置の設置を義務づけ、自動車から排出される炭化水素の25%を減少させることとしている。
 なお、炭化水素についての対策としては、窒素酸化物との関連もあるので、次の事項について総合的な対策を検討する。
ア 窒素酸化物との関連における有害性の科学的分析
イ 防止技術の開発
(3) 窒素酸化物の排出規制
 自動車から排出される窒素酸化物については、一酸化炭素および炭化水素の排出量を少なくしようとするほど、その発生量が増加するという関係もあるので、汚染状況、一酸化炭素との関連等の科学的な解明およびその防止技術の開発について検討を進める。
(4) 長期計画の策定等
 自動車排出ガス対策としては、長期的構想に基づいて、防止技術の開発に努めるとともに、段階的に規制の強化を図る必要があるので、これに関して50年までの長期計画を策定こととし、運輸技術懇談会自動車部会の審議を求め、45年6月を目途に結論を得る予定である。また、通商産業省産業構造審議会産業公害部会において、今後の自動車排出ガス対策に関する長期的、総合的見地からの各種浄化装置の開発、エンジン構造の改善、燃料の改善等環境基準達成のために必要な技術開発のあり方、生産体制の整備等についての審議の結論を得て具体的施策に反映せしめることとする。
(5) 試験研究体制等の充実強化
 自動車排出ガス対策に必要な技術に関する試験研究体制の充実強化を図るため、45年度において運輸省に交通安全公害研究所(仮称)を新設するほか、工業技術院傘下の自動車安全公害研究所センターおよび関係試験研究機関の研究開発活動の強化ならびに民間における研究開発の指導助成等を行なう。

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