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第1節 

1 大気汚染防止法による規制の強化

(1) 指定地域の拡充
 大気汚染防止法第3条に基づき、ばい煙の排出を規制する地域として、昭和45年3月末現在35地域(23特別区、140市町村)が指定されている。45年度においては、前年度に調査を行なった秋田県秋田地区、広島県福山地区ほか数地区を新たに指定する予定である。また、埼玉県草加・蕨地区、広島県広島地区等の地域については、今後規制対象地域とする必要があるかどうかを検討するための基礎調査を実施することとしている。
(2) 排出基準の強化
 いおう酸化物に係る一般の排出基準については、44年12月大幅に強化改訂され、45年2月1日から施行されているが、改訂基準の遵守を図るため、45年度中にばい煙発生施設の総点検を行なうなどその実施に万全を期すこととしているほか、大都市の中心部にみられるビル暖房に起因する大気汚染の有効な規制について検討を進める予定である。
 すす、その他のふんじんに係る排出基準については、38年以来改訂されておらず、現状にそぐわない点も多いので、環境汚染データと発生源との関係のは握等必要な検討を行ない、45年度中に排出基準を改訂強化する予定である。
 また、大気汚染の状況を的確には握するためには、測定点等の適正な配置が前提となるので、45年度中に全指定地域における測定体制に関する総点検を実施する予定である。
 大気汚染防止法では、指定地域のうち、現に大気汚染の著しい地域または著しくなるおそれのある地域について、区域を限ってその区域に新増設されるばい煙発生施設に対し、一般の排出基準よりもきびしい特別の排出基準を適用することができるものとしている。現在、京浜地域、大阪・尼崎地域等にいおう酸化物についての特別の排出基準が設定されているが、さらに、これらとほぼ同様の汚染の状況にある室蘭等の地区についても、その汚染状況の推移等についての調査を行ない、特別の排出基準の設定を検討していくこととしている。
(3) 特定有害物質の規制
 大気汚染防止法に基づき、人の健康に著しく有害な物質として政令で指定したもの(現在、塩素等28物質)については、同法第18条において事故時に講ずべき必要な措置を講じているが、弗化水素等については、これで十分とはいいがたい問題があるので、さらに所要の規制措置等についての検討を進めていくこととしている。

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