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第3節 低いおう化対策の推進

 いおう酸化物による大気汚染を防止するための基本策は、燃料の低いおう化対策である。このため政府は、昭和44年12月の総合エネルギー調査会の報告の線に沿って、強力な低いおう化対策を推進することとしているが、当面、45年度において講じようとする施策は以下のとおりである。
(1) 重油脱硫
 重油脱硫については、外国からの技術導入により、すでに重油脱硫装置の建設および運転が行なわれているが、この装置の建設には多額の設備資金を要し、脱硫経費も高いので、これらの負担を軽減することにより重油脱硫の実施を促進することとしている。まず、45年度より、輸入原油から重油脱硫を行なって低いおう重油を製造した場合には、脱硫重油1kl当たり300円に相当する原油関税を軽減することとしている。重油脱硫装置の建設に当たっては日本開発銀行からの融資を行なっているが、45年度においてもこれを実施する。さらに、重油脱硫装置については特別償却および固定資産税の軽減からなる税制上の優遇措置を講じているが、45年度より間接脱硫に必要な減圧蒸溜装置についても、同様の取り扱いを行なうこととしている。なお、国の大型プロジェクト制度による懸濁床方式の直接脱硫技術に関する研究開発については、44年度からテストプラントの建設に着手しているが、45年度にはこれを完成させ、運転研究にはいることとしている。
(2) 排煙脱硫
 排煙脱硫については、特別償却および固定資産税の非課税措置の制度が適用されているが、国の大型プロジェクト制度による研究開発の成果に基づき45年度から実用規模に近い排煙脱硫装置の建設が計画されており、これらについては国産技術の振興に資するので、日本開発銀行から国産技術振興枠による融資が予定されている。
(3) 地域別冷暖房
 都市ガスによる地域冷暖房については、大気汚染の防止に貢献することをも考慮して日本開発銀行の融資対象とすることとしている。

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