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第4節 その他の対策

 公害防止のためには、法的規制の強化、技術開発の推進等の施策と並んで、無秩序な工業の立地を防止し、計画的立地を進める「工業立地の適正化対策」を推進することが必要である。このような観点から、東京、大阪、名古屋を中心とする既成工業地帯等の過密公害地域からそれ以外の地域で工場の立地に適正と認められる地域へ工場の分散移転を積極的に促進することとし、分散企業に対する長期低利の資金の融資、事業用資産の買換特例制度の適用等の施策を強力に推進する。
 新たな工業立地の行なわれるべき地域において公害の未然防止を図るため、他の土地利用と十分調整を取りつつ工業用地の計画的確保と企業の誘導による工業の計画的な立地を図ることがぜひとも必要である。
 このため毎年実施している工場適地調査、工業団地の長期造成計画の作成等の施策を拡充するとともに、昭和45年度においては、従来からの調査に加えて石油精製、石油化学、製鉄等の基幹資源型工業の将来の大規模な公害なきコンビナート建設のモデル調査として大規模工業基地の候補地点からモデル地区を選定し、総合的な調査を行なうこととしている。また、計画的工業立地を図るうえで重要な要素となる工業団地の造成を促進するため、地方公共団体の団地造成のための起債枠を拡大する。
 さらに、電子計算機の活用により各種データの蓄積・分析を行ない、工業立地の適正化行政の充実・高度化を図るとともに、新たな政策の立案に資することとしている。
 なお、公害行政需要の増大に対応して、公害対策を強力に実施するため、通商産業省においては、企業局立地公害部、鉱山保安局等を統合再編成し、公害保安局を設置することとしている。

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