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第2節 公害防止計画の策定

 昭和45年度においては、公害対策基本法第19条に基づく公害防止計画の第一陣として、千葉・市原、四日市および水島の3地域の公害防止計画の承認を行なうとともに、現在検討中の東京、神奈川および大阪の3地域に対する公害防止計画の基本方針を指示する予定であり、また、新たに鹿島、名古屋、尼崎、北九州および大分の5地域について公害防止計画基本方針の策定を開始するなど特定地域における公害の防止をさらに推進することとしている。
(1) 千葉・市原、四日市および水島の地域に対する公害防止計画の承認
 44年5月、千葉、三重および岡山の3県知事に対し、内閣総理大臣から、それぞれ千葉・市原、四日市および水島の各地域について公害防止計画策定の基本方針が指示された。3県においては、この指示に基づき計画の策定に努め、発生源対策を軸に工場後背地等市街地の整備、緩衝地帯造成、居住環境の整備、下水道および上水道の整備、都市廃棄物処理機構の整備、監視測定体制の整備等各地域の特性と実情に応じた各般の事業を組み合せて、目標達成のための総合的な防止計画を策定中であり、近く関係各省庁による審査、検討の後、公害対策会議の議を経て、内閣総理大臣による計画承認の運びとなる予定である。
(2) 東京、神奈川および大阪の地域に対する基本方針の指示
 45年度においては、東京、神奈川および大阪の3地域に対し、公害防止計画策定のための基本方針を示すこととしている。
 これらの地域は、人口の増加および産業の集中に伴い産業公害や都市公害が大規模かつ複雑に発生している地域として、総合的、計画的な防止施策の確立が急務とされているところである。
 現在、これらの地域における大気汚染や水質汚濁の防止の目標の設定およびその目標達成のための方途、各種交通機関による騒音・振動問題と対策、地盤沈下の問題と対策、広域汚染の対策等幾つかの基本的な課題について関係都府県の協力もとに進められている。
(3) 鹿島、名古屋、尼崎、北九州および大分の地域に対する基本方針の策定
 45年度においては、新たに公害防止計画策定対象地域として、公害の著しい既成工業地域として尼崎および北九州、人口および産業の集中等により公害が著しくなるおそれのある地域として大分および鹿島ならびにこれらの双方の要素を持つ名古屋地域の5地域を取り上げ、公害防止計画の基本方針を策定することとしている。
(4) 公害防止費用負担問題
 公害防止計画には、関連公共事業等大規模かつ広範な事業が含まれるため、その達成にはきわめて多額の費用を要する。このために公害防止計画達成のため必要となる費用の範囲、当該費用に関する事業者、国および地方公共団体の合理的な負担関係等について進めることとしている。

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