前のページ 次のページ

第4節 

3 防衛施設周辺における水質汚濁防止

 防衛施設周辺における水質の汚濁については、昭和28年に在日米軍等の特定行為について国の無過失責任を定めたものとして画期的な、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律(特損法)が制定され、その損失に対し補償するとともに、周辺住民の生活環境等が被害を受けることのないよう行政措置により障害の防止等の措置を行ない、その対策について万全を期してきた。また、昭和41年には、防衛施設周辺の整備等に関する法律(防衛施設周辺整備法)が制定され、自衛隊の行為による同様の損失に対しても補償するとともに、従来個別的にとられてきた行政措置に代えて、法律による障害防止等についての制度を確立した、これらの法律等により、次の内容の措置を実施している。
(1) 障害防止工事の助成
 国は、地方公共団体その他の者が、自衛隊等の射撃、爆撃、その他火薬類の使用のひん繁な実施、防衛施設の整備のため土地または土地の定着物の形質の著しい変更等により水質の汚濁が生じ、または生ずる恐れのある場合、これを防止し、または軽減するため、農林漁業用施設、砂防施設、河川および上下水道の施設について必要な工事を行なうときは、その者に対して、その費用の全部または一部を補助することとしている。
(2) 民生安定施設の助成
 防衛施設の運用に生ずる水質の汚濁による住民汚濁生活または事業経営上の障害の緩和に資するため、市町村が、生活環境または事業経営の安定に寄与する施設(たとえば水道、水泳プール、汚水除去施設等)の整備について必要な措置をとるときは、当該市町村に対し、その費用の一部を補助することとしている。
(3) 損失の補償
 自衛隊等の特定の行為に伴い、水質の汚濁を生ぜしめた結果、農業、林業、漁業等の経営者が経営上の損失を被ったときは、その損失を補償している。
(4) その他の措置
 水質の汚濁と防衛施設の設置、管理の瑕疵との間に相当因果関係が明白になった場合は、損害賠償の措置を講じている。また、水質の汚濁が自衛隊等の汚水処理施設に関連して生ずる恐れのある場合は、その施設を改善するなどの方法により、水質の汚濁が生じないよう措置している。

前のページ 次のページ