2 河川浄化対策の推進
現在の汚濁された河川に対する浄化対策としては、自己流量が少ないために汚濁の希釈能力が乏しい河川については、大河川の余剰水を注水して希釈する「浄化用水導入事業」と、河床にたい積する汚でいをしゅんせつして、悪臭等の汚濁源の減少を図り、流水の阻害を改善する「汚でいしゅんせつ事業」を河川事業として実施している。
なお、都市環境の悪化に対処し、都市河川の高水敷等を整備して、運動場、公園、緑地のための公共空地を確保し、河川の美化を図り、都市住民の生活環境の改善を目的とした河道整備事業を実施し、河川の水質汚濁の防止、洪水の疎通に資することとしている。
昭和44年度の事業実施状況は、次のとおりである。
(1) 寝屋川河川浄化事業
寝屋川流域は、阪神都市圏の外縁にあたり、近年の都市化が著しく、人口や工場の集中がきわめて急激である反面、河川の自己流量が少ないのいで、都市下水、工場排水による河川の汚濁が激しく、大阪市内河川の汚濁の最大の原因となっている。
この汚濁に対処するため、淀川から豊水時の余剰水を最大20m
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/秒を浄化用水として取り入れ、1.8kmの導水路と揚水ポンプにより寝屋川上流に注水し、寝屋川の汚濁水を希釈するとともに、停滞している汚濁水の流下を促進するものである。
本計画の実施により、下水道事業等の進ちょくとあいまって、京橋地点の水質は、おおむねBOD10ppm程度に改善される見込みである。
本事業の全体事業費は、約33億5,000万円で42年度に着工し、44年度は16億4,000万円の事業を実施し、万国博開催までにほとんどの事業を完了している。
(2) 隅田川等河床しゅんせつ事業
隅田川等の汚泥のたい積している河川については、河床のしゅんせつを実施し、悪臭等の汚濁源の減少を図り、流水の阻害を改善することに努力を傾けている。
44年度においては、6億6,000万円の事業費をもって、全国的にも汚濁の著しい東京都の隅田川(18万8,000m
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)、大阪市の神崎川(53万3,000m
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)、名古屋市の堀川(3万4,000m
3
)、福岡市の御笠川(3,000m
3
)、尼崎市の庄下川(6,000m
3
)、横浜市の帷子川(5,000m
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)、和歌山市の和歌川のしゅんせつを実施している。