3 公害訴訟
44年6月に水俣病事件(熊本県)についての訴訟が提起され、すでに訴訟の提起されている四日市ぜんそく事件、阿賀野川有機水銀中毒事件(新潟県)、イタイイタイ病事件(富山県)とともに、四大公害裁判として社会の耳目をひきつけている。さらに、同年12月には、大阪国際空港騒音事件について訴訟が提起された。
公害に係る司法上の紛争事件は、公害現象の多発多様化とともに増加してきており、最高裁判所民事局の調べによれば、44年12月31日現在、全国の地方裁判所で係争中の損害賠償事件の数は、訴訟186件、調停47件の合わせて233件に達している(第2-5-2表参照)。
なお、公害訴訟等の増加に伴い、裁判所がその迅速な解決を図ることが要請されているが、最高裁判所においても、このような情勢に対処するために、45年3月に全国民事裁判官会同が開かれ、対策が検討された。