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第5章 公害紛争等

 今日、各地において公害の防止や被害の補償等の問題を巡って、地域住民と企業等の間に、いわゆる公害紛争が生じており、また、地方公共団体に持ちこまれる地域住民の苦情、陳情も多い。
 このように、公害を巡る紛争等が多発していることの背景としては、大気汚染、水質汚濁、騒音等により、地域住民の日常生活が阻害される現象が広がってきていることのほか、快適な生活を求める住民の意識がいっそう強まってきていることも見逃してはならない。
 公害問題は、その原因と被害との因果関係や原因者の責任等、その問題の解明が容易でないばかりでなく、関係者あるいは地域社会の利害関係が複雑にからみあっており、これを巡る紛争等の処理は困難を伴う場合が多い。
 なお、公害の発生や増大を防ぐため、三島、沼津の石油化学コンビナート建設反対運動(昭和39年)や富士の火力発電所建設反対運動等のように、企業の立地そのものに反対する住民運動も起こっており、社会に大きな影響を与えている。また、地方公共団体の下水処理場や清掃工場等の建設に対し、悪臭、大気汚染等の公害発生をおそれて地域住民の反対運動が起こされる場合もみられ、複雑な問題を投げかけている。

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