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第1節 

3 各種調査の実施

 厚生省においては、大気汚染防止のための調査研究として、従来から開発整備地域等の調査等を行なつているが、昭和44年度においては、仙台・塩釜地区等について実施することとしている。
 なお、大気汚染の著しい大阪西淀川地区等では、大気拡散調査を含めた汚染の実態調査を、電子計算機による汚染の解析を行ない、今後の大気汚染の進行を防止するための基礎資料を得るほか、大都市における大気汚染の複雑化にかんがみ、都市気象と大気汚染との関連を明確にし、環境汚染防止対策を確立するための調査研究を予定している。
 また、通商産業省においては、今後急速に工業化の進む新産業都市や工業整備特別地域等の新規で、大規模な工業地帯ならびに既成工業地帯であつて、大気汚染の著しい地域について科学的かつ総合的な手法を用いて産業公害総合事前調査を実施してきたが、44年度においては、さらに全国で7地域について調査を実施する予定である。
 なお、同調査を実施した地域については、新たに調査後の立地計画の変更によつて生ずる公害面への影響を電子計算機を用いて迅速に調査することにより、当該地域の公害防止計画の策定実施に資することとしている。
 また、建設省による44年度における広域公害対策調査は、鹿島等2地域について実施することとしている。
 大気汚染物質のうち、人体の影響の見地から、蓄積現象を伴う微量重金属成分については、国設大気汚染測定所を中心に、開発整備地域調査地区をも含めて、44年度も引き続き調査を継続する予定である。また特定有害物質としては、弗素またはその化合物を取り上げ、その環境汚染の実態を明らかにし、測定法を確立するための調査研究を行なうこととしており、今後予想される汚染地域の拡大を未然に防止する措置を講ずるため、組織的な調査研究を実施することとしている。
 次に、学校の大気汚染対策として、文部省は、43年度に引き続き学校の公害対策調査研究会を設けて、被害の実態の究明を急ぐとともに、その防止対策を樹立する。一方、学校において早急に大気汚染の防止工事等を行なう必要のあるものについては、工事に要する費用の3分の1を国庫補助する。

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