前のページ 次のページ

第1節 

1 産業公害総合事前調査

 産業公害総合事前調査は、今後急速に工業化の進む新産業都市や工業整備特別地域等の新規で大規模な工業地帯について、発生のおそれのある大気汚染と水質汚濁を未然に防止することを目的としている。
 本調査は、昭和40年度から実施されており、42年度までに大気関係は12地区、海域河川関係は7水域について調査が実施され成果をあげている。
 すなわち大気関係については、40年度には、大分県鶴崎地区、岡山県水島地区、茨城県鹿島地区、41年度には、兵庫県播磨地区、大阪府南大阪地区、愛知県名古屋南部地区、千葉県五井姉ヶ崎地区、42年度には、愛知県東三河地区、神奈川県川崎横浜地区、神奈川県根岸地区、大阪府・兵庫県大阪尼崎地区、徳島県阿南地区について調査を実施した。
 また、海域河川関係については、40年度には、宮城県・福島県阿武隈川、41年度には、茨城県鹿島地区、岡山県水島地区、42年度には、大分県鶴崎地区、兵庫県播磨地区、千葉県五井姉ヶ崎地区、愛知県知多地区の各地先海域について調査を実施した。
 本調査の調査方法は、大気関係については、現地実験、風洞による拡散実験および理論式による拡散計算、水域関係に付いては、現地実験、水理模型実験および理論式による拡散計算とそれぞれ科学的手法を用いて調査対象地区の工業化の進展に伴う将来における大気汚染または水域汚濁を予測するとともに、将来において公害の生じないように現時点における技術水準から可能なかぎりの公害防止対策(たとえば大気汚染防止のためには集合高煙突の建設、低いおう燃料への切り替え、水質汚濁防止のためには共同排水処理の実施まで)を講ずるよう企業指導を行なうものである。
 43年度においても、前年度までに引き続き、大気関係については、北海道苫小牧地区、秋田県秋田湾地区、千葉県君津地区、愛知県衣浦地区、岡山県笠岡・広島県福山地区、山口県宇部・小野田地区の6地区、海域河川については茨城県鹿島地区、千葉県君津地区、兵庫県東播磨地区および加古川、愛知県衣浦地区の5水域について調査を実施した。

前のページ 次のページ