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第1節 

2 水質保全法等の概要

(1) 水質保全法の概要
 水質保全法は、水質保全に関する統一的理念と基準の確立を可能とするものであり、工場排水規制法等の実体規制法と合わせて水質保全に関する法体系を形成している。
 すなわち水質保全法は、水質保全に関する基本法として、工場排水規制法ならびに既存の鉱山保安法、水洗炭業に関する法律および下水道法の規制対象である工場排水、鉱山排水、水洗炭業排水および下水道からの放流水等について、産業の相互協和と公衆衛生の向上という統一理念に立って水質基準を設定することなどにより、水質保全行政の合理的、統一的な推進を可能としているのである。
(2) 水質規制のしくみ
 水質保全法は、指定水域の指定および水質基準の設定、調査基本計画の作成、水質審議会、水質紛争の和解の仲介制度をその主たる内容とするが、その骨子は、河川、湖沼、沿岸海域等の公共用水域のうち、水質の汚濁が原因となって関係産業に相当の損害が生じ、もしくは公衆衛生上看過しがたい影響が生じているもの、またはそれらのおそれのあるものについて所要の実態調査を実施のうえ、経済企画庁において、指定水域として指定し、同時に当該指定水域に係る水質基準を定めることにある。
 この水質準準とは、工場、事業場、鉱山、水洗炭業または下水道から指定水域に排出される排水の汚濁の許容限度であり、定められた水質基準に基づき工場、事業場については、工場排水規制法により、鉱山については鉱山保安法により、水洗炭業については水洗炭業法により、下水道については下水道法により、それぞれ第3-3-1図に示すとおり関係各省庁がそれらの排水について規制および監督を行なうものとされている。なお、指定水域以外の水域に排出される水または工場排水規制法に定める特定施設以外の施設から指定水域に排出される水については、地方公共団体が必要に応じ条例により所要の水質規制を行なっている。

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