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第1節 

1 水質保全法および工場排水規制法の制定に至るまで

 およそ河川、湖沼、沿岸海域等の公共用水域の水質の保全に関しては、河川法、港則法、鉱山保安法等の各種の関連法規が古くから制定、施行されていたが、戦後の経済の発展に伴い水質汚濁問題の多発と複雑性の増大に対処しえないという認識が一般となってきた。
 特に、重要な汚濁源である工場、事業場に対する排水の規制に関する法規を欠いていたことは、大きな欠陥であつた。
 このような一般の認識を反映して、昭和26年には、経済安定本部資源調査会の「水質汚濁防止に関する勧告」(26年資源調査会勧告第10号)が行なわれ、その後、経済企画庁を中心とした関係各省による「水質汚濁防止に関する連絡協議会」において所要の検討が進められ、33年9月9日には「水質汚濁防止対策要綱」を閣議了解し、水質二法の骨子や前記のような既存の関連法規との関係その他必要な事項の大綱を定めるに至った。
 この要綱に基づき、「公共用水域の水質の保全に関する法律案」および「工場灰水等の規制に関する法律案」が作成され、33年12月25日に公布され、34年3月1日(公共用水域の水質の保全に関する法律の和解の仲介に関する規定に限って同年4月1日)から施行されることになつた。

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