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第3節 その他の河川、湖沼の汚濁の状況

 最近都市河川に限らず全国の河川は、一般的に多かれ少なかれ水質汚濁の問題が生じてきている。農村地域においてすら工場排水、家庭下水のほか散布農薬、養豚等の畜舎汚水による汚濁等により汚濁負荷量も増大している。その汚濁源とその被害地域を大別すれば、以下のとおりである。
ア 鉱山廃水によるもの
 洗炭排水による汚濁が石狩川、遠賀川等に発生し、漁業および農業に悪影響を与えている。
 北上川、坪川(青森)、米代川、迫川、渡良瀬川等
イ パルプ製糸廃液を中心とするもの
 釧路川、木曽川下流、三島、川之江海域、川内川(鹿児島)等
ウ 石油精製、石油化学工業によるもの
 四日市海域、水島港等
エ でんぷん、ビートなどによるもの
 北海道、南九州を中心とし、水産被害、上水道水質の悪化をもたらしている。
 常呂川、十勝川、網走川、大淀川、大村湾等
オ 皮革製造、水産加工によるもの
 被革排水によるものとして揖保川、神埼川上流、和歌川等
 水産加工によるものとして網走川、松島湾、盛川河口等
カ 化学工業群による物
 五箇瀬川および河口海域、大牟田市付近河川、徳山湾、大竹、岩国海域等
 なお、印旗沼等都市周辺の湖沼の汚濁の状態は著しいものがあるが、一般にわが国の湖沼、(印旗沼、手賀沼、諏訪湖等)は周辺の河川からの汚濁の流入と、栄養塩(燐、窒素等)の供給を受けてプランクトンが大量に発生し、しだいに富栄養湖へ移行していく傾向にある。富栄養湖のたどる運命は、自ら汚濁を進行し、それのくりかえしによって埋泥、湖域の縮小、そして最終的には湿地化し消滅する方向をたどることになる。したがって、汚濁水の流入やごみの投棄など防止すると同時に、富栄養湖化を防ぐ必要があるものが多い点に留意しなければならない。そのほか、最近におけるわが国の畜産振興に伴う養豚、養鶏に係る汚水問題も見のがせぬ問題である。

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