極端な大雨や猛暑など、国内外で顕在化しつつある気候変動の影響に対処するため、温室効果ガスの排出の抑制等を行う「緩和」だけでなく、既に現れている気候変動の影響や中長期的に避けられない影響に対処し、被害を回避・軽減する「適応」の取組を進める必要性が高まっています。気候変動の影響は、農業・林業・水産業、水環境、水資源、自然生態系、自然災害、健康等の様々な面で生じる可能性があり、全体で整合のとれた取組を推進することが重要となっています。
このため、気候変動適応法(平成30年法律第50号)及び気候変動適応計画(以下「適応計画」という。)に基づき、科学的知見の充実及び気候変動影響の評価、政府の関係府省庁が実施する施策への気候変動適応の組込み、国際協力等を推進します。とりわけ、熱中症対策については、熱中症対策実行計画に基づき、関係府省庁と連携して熱中症対策関連施策を推進するとともに、地方公共団体や民間団体等を通じた国民への熱中症対策の普及等に取り組みます。気候変動の影響を最も受けやすい産業の一つである農林水産業では、みどりの食料システム戦略等を踏まえ改定された農林水産省気候変動適応計画に基づき、幅広い対策を進めていきます。
また、気候変動影響や適応に関する様々な知見を収集・整理・分析し、地方公共団体、事業者、国民等の各主体に気候変動影響や適応策に関する情報提供等を行うことにより、地方公共団体の適応計画の充実や、各主体の適応の取組を支援していきます。さらに、気候変動の影響に特に脆(ぜい)弱な途上国に対して、我が国の知見や技術を活用し、気候変動影響評価及び適応策の推進に係る支援や人材育成、科学的な情報基盤の整備等を行うことにより、途上国の適応の取組の推進に貢献していきます。
上記の施策を関係者が連携しながら効果的に推進できるよう、適応の充実・強化を図っていくための仕組みづくりを進めていきます。