環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和4年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第3章>第6節 万全な災害廃棄物処理体制の構築

第6節 万全な災害廃棄物処理体制の構築

2021年は、福島での地震や7月、8月の豪雨等の災害により、全国各地で被害が多く発生しました。災害によって生じた災害廃棄物の適正かつ円滑・迅速な処理のため、被害の程度に応じて、被災自治体に対して、環境省職員や災害廃棄物処理支援員制度に登録の支援員、災害廃棄物処理支援ネットワーク(以下「D.Waste-Net」という。)の専門家の派遣、地方環境事務所によるきめ細かい技術的支援、災害廃棄物処理や施設復旧のための財政支援、損壊家屋の解体の体制構築等の実施により、着実な処理を推進しています。

1 地方公共団体レベルでの災害廃棄物対策の加速化

近年の広範囲で甚大な被害を生じた災害対応における経験・教訓により、特に災害時初動対応に係る事前の備えや、大規模災害時においても適正かつ円滑・迅速に処理を行うための体制確保を一層推進する必要性が改めて認識されました。環境省では、災害廃棄物対策推進検討会を開催し、近年の災害廃棄物処理実績の蓄積・検証を実施しました。さらに、地方公共団体における災害廃棄物処理計画の策定や災害廃棄物対策の実効性の向上等を支援するため、地方公共団体向けのモデル事業を実施しました。

2 地域レベルでの災害廃棄物広域連携体制の構築

県域を越え地域ブロック全体で相互に連携して取り組むべき課題の解決を図るため、地方環境事務所が中心となって都道府県、市区町村、環境省以外の国の地方支分部局、民間事業者、専門家等で構成される地域ブロック協議会を全国8か所で開催し、災害廃棄物対策行動計画に基づく地域ブロックごとの広域連携を促進するため、共同訓練等を実施しました。

3 全国レベルでの災害廃棄物広域連携体制の構築

全国規模で災害廃棄物対応力を向上させるため、D.Waste-Netの体制強化や、南海トラフ地震における災害廃棄物処理シナリオ、地域ブロックをまたぐ連携方策等について検討しました。また、一般廃棄物処理の初動対応手順及び事前検討事項を取りまとめた「災害時の一般廃棄物処理に関する初動対応の手引き」を2021年3月に改訂しました。さらに、災害廃棄物処理を経験し、知見を有する地方公共団体の人材を「災害廃棄物処理支援員」として登録し、被災地方公共団体の災害廃棄物処理に関するマネジメントの支援等を行う「災害廃棄物処理支援員制度」について、2020年から登録を開始しています。2022年3月時点で258人が支援員に登録されています。運用初年度となった2021年7月、8月の豪雨災害では、熱海市、北広島町へ派遣し、現地での支援を行っています。

港湾においては、大規模災害時に発生する膨大な災害廃棄物の受入施設を把握し、広域処理にあたって必要となる港湾機能や実施体制の検討を行いました。