沖合の海底の自然環境の保全を図るための新たな海洋保護区(以下「沖合海底自然環境保全地域」という。)制度の措置を講ずる自然環境保全法の一部を改正する法律(平成31年法律第20号)が、2020年4月に施行されました。2020年12月に、小笠原方面の沖合域に沖合海底自然環境保全地域を4地域(伊豆・小笠原海溝、中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部、西七島海嶺、マリアナ海溝北部)指定し、同地域における自然環境の状況把握調査を行いました。
有明海・八代海等における海域環境調査、東京湾等における水質等のモニタリング、海洋短波レーダを活用した流況調査、水産資源に関する調査等を行いました。
2016年3月に策定した「サンゴ礁生態系保全行動計画2016-2020」の実施状況の評価結果を踏まえ、2021年10月に新たな「サンゴ礁生態系保全行動計画」を検討するための委員会を開催しました。2回の検討会における議論を踏まえて「サンゴ礁生態系保全行動計画2022-2030」を策定しました。
2020年12月に施行された新しい漁業法(昭和24年法律第267号。以下「新漁業法」という。)において、科学的な資源評価に基づき、持続的に生産可能な最大の漁獲量の達成を目標とし、数量管理を基本とする資源管理が位置づけられ、同年9月に策定した「新たな資源管理の推進に向けたロードマップ」に従い、科学的な資源調査・評価の充実、資源評価に基づくTAC(漁獲可能量)による管理の推進など、新たな資源管理システムの構築のための道筋を示し、着実に実行したほか、[1]ミンククジラ等の生態、資源量、回遊経路等の解明に資する調査、[2]ヒメウミガメ、シロナガスクジラ、ジュゴン等の原則採捕禁止等、[3]サメ類の保存・管理及び海鳥の偶発的捕獲の対策に関する行動計画の実施促進等を実施しました。
海岸保全施設の整備においては、海岸法(昭和31年法律第101号)の目的である防護・環境・利用の調和に配慮した整備を実施しました。
港の良好な自然環境を活用し、自然環境の大切さを学ぶ機会の充実を図るため、地方公共団体やNPO等による自然体験・環境教育プログラム等の開催の場ともなる緑地・干潟等の整備を推進するとともに、海洋環境整備船等による漂流ごみ・油の回収を行いました。また、海辺の自然環境を活かした自然体験・環境教育を行う「海辺の自然学校」等の取組を推進しました。
2013年に策定した「プレジャーボートの適正管理及び利用環境改善のための総合的対策に関する推進計画」に基づき、放置艇の解消を目指した船舶等の放置等禁止区域の指定と係留・保管施設の整備を推進しました。
漁港・漁場では、水産資源の持続的な利用と豊かな自然環境の創造を図るため、漁場の環境改善を図るための堆積物の除去等の整備を行う水域環境保全対策を実施したほか、水産動植物の生息・繁殖に配慮した構造を有する護岸等の整備を実施しました。また、藻場・干潟の保全・創造等を推進したほか、漁場環境を保全するための森林整備に取り組みました。大規模に衰退したサンゴの効率的・効果的な保全・回復を図るため、サンゴ礁の面的な保全・回復技術の開発に取り組みました。
第4章第6節を参照。