胎児期から小児期にかけての化学物質ばく露が子供の健康に与える影響を解明するために、2010年度より全国で、10万組の親子を対象とした大規模かつ長期の出生コホート調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を実施しています。エコチル調査では、母体血や臍(さい)帯血、母乳等の生体試料を採取保存・分析するとともに、子供が13歳に達するまで質問票によるフォローアップを行い、子供の健康に影響を与える環境要因を明らかにすることとしています。また、全国調査10万人の中から抽出された5,000人程度の子供を対象として医師による診察や身体測定、居住空間の化学物質の採取等の詳細調査を実施しています。
この調査の実施体制としては、国立研究開発法人国立環境研究所がコアセンターとして研究計画の立案や生体試料の化学分析等を、国立研究開発法人国立成育医療研究センターがメディカルサポートセンターとして医学的な支援を、公募により指定した全国15地域のユニットセンターが参加者のフォローアップを担っており、環境省はこの調査研究の結果を政策に反映していくこととしています(図5-2-1)。
化学物質の内分泌かく乱作用問題については、その有害性など未解明な点が多く、関係府省が連携して、環境中濃度の実態把握、試験方法の開発、生態系影響やヒト健康影響等に関する科学的知見を集積するための調査研究を、経済協力開発機構(OECD)における活動を通じた多国間協力や二国間協力など国際的に協調して実施しています。
環境省では、2016年に取りまとめた「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応─EXTEND2016─」に基づき、これまでに得られた知見や開発された試験法を活用し、評価手法の確立と評価の実施のための取組を進めています。2020年度も、一部の化学物質について試験管内試験及び生物試験を実施しました。
小児や妊婦(胎児)など化学物質に対して脆(ぜい)弱と考えられる集団の化学物質に対する反応に関して、次世代に対する影響の評価手法の開発に資する研究等を推進しています。
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