環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和2年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第2章>第5節 持続可能な利用

第5節 持続可能な利用

1 持続可能な農林水産業

農林水産関連施策において、生物多様性をより重視した視点を取り入れ、生物種の生育・生息環境としての質を高める持続可能な農林水産業を推進し、農山漁村の活性化を図ります。具体的には農地・水資源の保全・維持、生物多様性保全に効果の高い営農活動の導入や持続可能な森林経営等を積極的に進めるとともに、生態系に配慮した再生可能エネルギー等の利用を促進します。

持続可能な農業生産を支える取組の推進を図るため、化学肥料、化学合成農薬の使用を原則5割以上低減する取組と合わせて行う地球温暖化防止や生物多様性保全等に効果の高い営農活動に取り組む農業者の組織する団体等を支援する環境保全型農業直接支払を実施します。

環境保全等の持続可能性を確保するための取組である農業生産工程管理(GAP)の普及・推進や、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(平成11年法律第110号)に基づき、土づくりと化学肥料・化学合成農薬の使用低減に一体的に取り組む農業者(エコファーマー)の普及推進、有機農業の推進に関する法律(平成18年法律第112号)に基づく有機農業の推進に関する基本的な方針の下で、有機農業指導員の育成及び新たに有機農業に取り組む農業者の技術習得等による人材育成、有機農産物の安定供給体制の構築、国産有機農産物の流通、加工、小売等の事業者と連携した需要喚起の取組を支援します。

2 エコツーリズムの推進

エコツーリズム推進法(平成19年法律第105号)に基づき、全体構想の認定・周知、ガイド等の人材の育成、情報の収集、広報活動等を実施するなど、地域が主体的に行うエコツーリズムの活動を支援します。

3 遺伝資源へのアクセスと利益配分

2017年8月に我が国について発効した生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書(名古屋議定書)の国内措置である「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針」の適正な運用により、海外遺伝資源の適法取得及び適切な利用、その利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進します。