環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第3章>第6節 万全な災害廃棄物処理体制の構築

第6節 万全な災害廃棄物処理体制の構築

2018年は平成30年7月豪雨や数多くの強い勢力の台風、平成30年北海道胆振東部地震等、全国各地の広い範囲で数多くの災害が発生しました。これらの災害によって生じた災害廃棄物の適正かつ円滑・迅速な処理のため、被害の程度に応じて、環境省の職員や災害廃棄物処理支援ネットワーク(以下「D.Waste-Net」という。)の専門家からなる現地支援チームの派遣、公益社団法人全国都市清掃会議や民間団体の協力による県内外の自治体等からのごみ収集車や人員の派遣、地方環境事務所によるきめ細かい技術的支援、災害廃棄物処理や施設復旧のための財政支援等を実施しました。平成30年7月豪雨については、現地支援チームの引上げ後も中国四国地方環境事務所が中心となって被災県や被災市町村に対して技術的・財政的支援を実施しました。また、被災自治体が策定した災害廃棄物処理実行計画等に基づき、損壊家屋の解体の体制構築、災害廃棄物の広域処理の実施及び二次仮置場の稼働等により、着実に処理が進められました。

1 地方公共団体レベルでの災害廃棄物対策の加速化

東日本大震災や近年の災害における経験・教訓により、事前の備えや、大規模災害時においても適正かつ円滑・迅速に処理を行うための措置を一層推進する必要性が改めて認識されました。環境省では、災害廃棄物対策推進検討会を開催し、近年の災害廃棄物処理実績の蓄積・検証を実施しています。その成果を活用し、災害廃棄物を適正かつ円滑・迅速に処理するための必要事項を整理した災害廃棄物対策指針を2018年3月に改定しました。さらに、地方公共団体による災害廃棄物処理計画の策定や研修等を支援するため、地方公共団体向けのモデル事業を実施しました。

2 地域レベルでの災害廃棄物広域連携体制の構築

県域を越え地域ブロック全体で相互に連携して取り組むべき課題の解決を図るため、地方環境事務所が中心となって都道府県、市区町村、環境省以外の国の地方支分部局、民間事業者、専門家等で構成される地域ブロック協議会を全国8か所で開催し、災害廃棄物対策行動計画に基づく地域ブロックごとの広域連携を促進するため、共同訓練等を実施しました。

3 全国レベルでの災害廃棄物広域連携体制の構築

全国規模で災害廃棄物対応力を向上させるため、D.Waste-Netの体制強化や、災害廃棄物対策における技術・システムや災害時の廃棄物処理を見据えた地域間協調の在り方の検討、災害廃棄物対策に係る自治体支援等について、継続的に実施しました。

港湾においては、大規模災害時に発生する膨大な災害廃棄物を、海上輸送を活用して広域処理する際に生じる課題について整理を行い、必要となる関係者の体制及び役割分担等について検討を行いました。